意外にも自動運転化との親和性は高い運転記録デバイスだ
タコメーターは知っていても、タコグラフがなにかは実際に使っている人以外にはピンとこないかもしれない。トラックの後ろに、デジタルタコグラフと誇らしげにステッカーが貼ってあったりするが、基本的にはタクシーなども含めた運送業で使われているもので、法律で装着が義務づけられている。
機能としては、車両の運行具合を記録するもので、アナログであればスピードメーターの裏が一般的で、タクシーだと時計に組み込まれていたりした。以前、タクシーの時計が大ぶりの丸形をしていたのは、タコグラフが付いていたからというのが理由である。
ちなみにエンジン回転数ではなく、速度を記録するのにタコという名称なのは、タコとは回転を示す言葉で、グラフ用紙は円形で回りながら記録していくから。回転グラフというわけだ。
グラフというぐらいなので、時間と速度が丸い用紙に記録されていく。実物を見ると、かなりアナログだ。24時間で一周し、放射線上に速度が記録されるのだが、目的は正しい労務管理や運行管理ができているかの記録のほかに、さぼっていないかを確認するというのも明文化はされていないが実際はある。
現在でもアナログタイプはあるにはあるが、世の流れに合わせてデジタル化が進んでいる。速度と時間だけでなく、GPSによる位置情報やETCの利用履歴などのさまざまな情報がSDカードに記録して取り出すことができるようになっているし、通信機能を備えてクラウド上で機能しているものもある。またタクシーであれば、実車状況や売り上げなども同時に記録できるものもあって、各乗員の管理にかなり役立っていたりもする。
さらに最近では各センサーからのデータやAIによる解析も搭載され、従来からのタコグラフにない機能も付加。安全運転が励行されているか、危険運転をしていないかなど、社会問題となっている運転マナーなどの向上にも使うことも可能だし、実際開発・導入は進んでいる。この点で考えると運転記録デバイスとして進化する余地はまだあり、来る自動運転化との親和性は高いと言えるのではないだろうか。