後席がスライドしなくても関係なし!
ここまで色々と比較してみたが、とくに幼い子どもを持つ世帯にとって、後席のスライド機能は大切だ。チャイルドシートを装着した後席の左側を前側へ寄せると、信号待ちのときなどに運転席の親が子どものケアをしやすい。前方に寄せた後席の後ろ側は、荷室が広がってベビーカーなども積みやすい。ハスラーの後席は左右独立してスライドするから、後席の右側は後方へ寄せると、足もと空間が広がって大人も座れる。
後席スライドの有無は、居住性にも影響を与える。ハスラーの後席を後方にスライドさせると、前後席に座る乗員同士の間隔は1035mmに広がり、後席の足もと空間にも十分な余裕ができる。2014年に登場した現行ムーヴも1030mmだが、後席がスライドしないタフトは900mmだから足もと空間も狭くなった。
販売店でこの欠点についても尋ねた。「タフトを検討するお客さまは、ムーヴやキャストからの乗り替えが多い。ライバル車としては、ハスラーと比べられる。これらの車種はすべて後席がスライドするから、タフトの欠点として指摘されることもある。ただし、タフトはスカイフィールトップなどの装備が充実して、外装のオプションも豊富だ。そこに注目するお客さまがタフトを購入されている。2名乗車が中心で、後席をあまり使わないお客さまも多い。ジムニーと迷うお客さまもいる」という。
つまりタフトは全高が1600mmを超える空間効率の優れた軽自動車ながら、ファミリー指向は強くない。後席は荷室として使い、スカイフィールトップなどの装備に関心を寄せるユーザーが多い。タフトとハスラーは、似通ったクルマでありながら、商品の特徴とユーザーが異なるわけだ。またジムニーの納期が相変わらず約1年と長いことも、タフトの受注台数を押し上げている。