通常は全段をすべて使うことはない
さらにもうひとつタイプがあって、海外で多いのが、シンプルなH型を縦にふたつ重ねたようなタイプ。正確には海外のミッションメーカーが好むもので、日本車にも積まれていることがある。これは14段なら1速と4速、2速と5速、3速と6速が同じ場所になっていて、ほかにいわゆるスーパーローギヤ(クローラーギヤ)があって、それぞれにローとハイがある。
気になるのは、同じ位置にある別のギヤをどう選んでいるのかだろう。シフトに付いているスイッチ(レンジ切り替え)で切り替えているし、ローとハイも同様で、握ったときにスイッチ(スプリッター)を押して選んでいる。つまりまったく日本車とは違っていて、乗り換えると相当苦労するようだ。
ただ、いずれにしてもスーパーローのさらにローを使うのはフル積載で、坂道発進をする際など特殊な場合。平地ではフル積載でも飛ばしてシフトしたり、荷物をあまり積んでいないときや空荷のときは、4速から発進してハイだけでつなげていったりもするなど、全部のギヤを使って走っているとは限らない。
それでも超多段化が進んでいるのには乗用車とは異なる理由がある。最近は環境性能と燃費向上と積載量を増やすための軽量で、エンジンが小型で排気量が少なくなったり、パワーが絞られている。その分、段数を増やすことで狭くなったパワーバンドを維持できるようにしているのだ。煩雑なシフト操作のため、MTベースの2ペダル、つまりAMTの普及が同時に進んでいるのにも注目したい。