「スーパーカー」はわかるけど最近聞く「ハイパーカー」って何もの? (2/2ページ)

ハイパーカーには飛び抜けた個性が必要

 しかし、それだけでは“ハイパーカー”には足りません。パフォーマンスの面でもスーパーカーを超えることが求められます。それもちょっと馬力が多いといったレベルでは満足できません。

 エンジンにしても量産モデルのハイチューン仕様というのではなく、専用エンジンであることがハイパーカーとしては理想といえます。さらにカーボンパーツを多用するなどして量産車としては考えられないレベルで軽量化をしているなど、とにかく突き抜けた部分がハイパーカーと呼ばれるクルマには求められるのです

 たとえば、マクラーレン製のハイパーカー「セナ」は、一般的なスーパーカーでは備えていることが当然といえる快適装備を省き、サーキットスペシャルに仕立てています。アイルトン・セナにちなんだ車名も、そうしたストイックなクルマづくりの姿勢を強調します。

 また、メルセデスAMGが開発中で間もなく登場する予定の「AMG ONE」は1.6リッターV6エンジンというハイパーカーにしては小さなエンジンを積んでいますが、それはF1パワーユニットと同じブロックを使っているという由緒正しすぎるものとなっています。

 その意味ではトヨタGRカンパニーが開発中で、東京オートサロンなどで披露したことのある「GR SUPER SPORT」も立派にハイパーカーといえます。このモデルはル・マン24時間を制したトヨタの純レーシングカー「TS050h」のV6ツインターボやハイブリッドシステムを、そのままストリート仕様として搭載すると発表されているからです。

「ハイパーカー」にとってハイパーリンクは最低条件といえますが、単にハイパワーなだけでなく、バックボーンにしっかりとしたストーリーがあることも「ハイパーカー」と呼ばれるクルマには必要といえるでしょう。

 そのストーリーというのは伝統的ブランドである必要はないのも「ハイパーカー」の特徴ではないでしょうか。小さなメーカーが生み出す生産台数一桁レベルのモデルであっても、突き抜けたクルマを作ろうという開発者や創業者の意思がストーリーとしてプラスされることで立派な「ハイパーカー」として認知されます。

 そうしたブランドは世間一般では知られていないかもしれませんが、ごく一部のまさしく「100万ドルのハイパーカー」を購入できる、限られた富裕層だけを対象としていますから、知る人ぞ知るとなるのは当然かもしれません。限られたハイソサエティのなかだけで密かに広がっていくこともハイパーカーのストーリーづくりにつながることがあるのです。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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