変わり種CVTはバイクにも採用されている
プーリーを使わない無段変速機のアイデアで、実際に量産にこぎ着けたものはほかにもあります。それがホンダの大型二輪「DN-01」に採用された「油圧機械式無段変速機HFT(Human-Friendly Transmission)」です。
その基本構造は、エンジンの動力を油圧に変換するオイルポンプと、その油圧を再度動力に変換して出力するオイルモーターというもので、なかなか理解するのは難しいのですが、ようはオイルを媒介に変速するシステムというわけです。さらに、HFTにはロックアップ(直結)機構もあり、これによって高速巡行時などの伝達効率を確保しているのも特徴といえます。
ここまでが一般的に無段変速機といわれるものですが、「電気式CVT」と分類される仕組みも存在しています。これはトヨタ・プリウスやホンダ・フィット、日産ノートなど発電用モーターと駆動用モーターを有するハイブリッドカーの変速機構として名付けられたもので、実際にエンジントルクを伝達する構造ではありません。プーリー式CVTに例えると、入力側プーリーが発電用モーター、出力側プーリーが駆動モーターに相当、ベルトの代わりに電力によってふたつのモーターをつないでいると考えることで、ふたつのモーターがあたかも変速機構として振舞っているという考えから生まれた呼び方といえます。