ベースは同じでもまったく別物のスポーツカーに仕立てられた2台
日本が世界に誇るライトウェイトオープンスポーツがマツダ・ロードスター。それをベースにイタリアのアバルトが手掛けたのが、124スパイダーである。じつは、124スパイダーはマツダの広島の工場で生産される”イタリア車”だが、ただ、ロードスターに伝統のサソリ、アバルトのエンブレムを冠しただけのクルマではない。
エクステリアはまったく別もので、70年代の124スパイダーを彷彿させるため、フロントオーバーハングまで延長。足まわりなども完全に別チューニングとなる。
最大の違いは、パワーユニット。ロードスターはNAにこだわった1.5リッター直4、132馬力/15.5kg-mのエンジンを積み、6速MTモデルの車重は1010kgと比較的軽量。一方、124スパイダーは1.4リッター直4ターボ、170馬力/25.5kg-m、6速MTで1130kgと、パワー、トルクで圧倒する。大人ふたり分ほど重くなり、価格は100万円以上高価になる。
だがこう言ってはなんだが、日本車、マツダの信頼性とイタリアの熱き血を両立したのが124スパイダーであるのと同時に、ベースは同じでも、日伊の自動車メーカーがこだわりまくった、まったく別物のスポーツカーに仕立てられた2台と言えるのだ。
そうそう、日本車と海外のクルマがバッジエンジニアリングする兄弟車も、意外に多い。古くは70年代~のいすゞ・ジェミニと、日本に再上陸すると伝えられるドイツ車のオペル・カデットだ。ジェミニは当時のクルマ好きの間でブレーク。いすゞが乗用車を作っていた時代に、イタリアの香りがする117クーペと並ぶ、ドイツ車を彷彿とさせた人気車だった。
そのほかにも、スズキのコンパクトカーにアメリカンなテイストを加えたシボレークルーズ、バッジ以外、まるで同じだったミニバンのスバル・トラヴィックとオペル・ザフィーラ、80年代にVWパサートセダンを日産自動車座間工場でノックダウン生産した、国産のドイツ車と言えた日産サンタナ、また、スバルインプレッサとサーブ9-2X、日産エクストレイルとルノー・カジャーも、血縁の濃い日欧の兄弟車である。