事実上いまは順番を変えることも可能!
もうひとつは、機械的な理由。ATの特徴、プラネタリーギヤというのは、リングギヤ(外周ギヤ)、プラネタリーギヤ(遊星歯車)、サン(太陽)ギヤ=中央ギヤが組み合わさっていて、3種のギヤすべてが入力・出力が可能な構造になっている。
そしてそれぞれのギヤを油圧で動かす湿式多板クラッチ、ブレーキ、ワンウェイクラッチで固定したりフリーにしたりすることで変速を行う。
このギヤの組み合わせを機械的に行うには、一カ所ずつ切り替えていった方が都合がよく、その順番を考えると「P-R-N-D-L」だと都合がよかったというわけだ。
現在のATは電磁ソレノイドを使った電子制御タイプなので、二カ所以上のギヤを固定・開放するのも容易にできる。そのため「P-R-N-D-L」パターンにとらわれる必要はないのだが、前記のように1950年代からアメリカで普及し、AT後発組のヨーロッパ車や国産車にも「P-R-N-D-L」が取り入れられ、すでに一般化し定着している以上、これから先もあえて違うパターンを採用するメーカー、車種は少ないだろう。