「タクシードライバー」も受難だが「マニア」も受難! コロナ禍でのタクシー車内の「悲しい」状況 (2/2ページ)

コロナ前の状況にはなかなか戻らずタクシーの受難は続きそうだ

 新型コロナウイルスの感染拡大により、タクシー車内でのひと時のドライバーとのコミュニケーションも奪いかねない状況を作っているのはなんとも寂しい。まあ、タクシードライバーすべてが無口になったというわけではないが、WITHコロナの時代では以前よりは気軽にお客に話しかけることができないのも確かだろう。

 とはいっても、先日都内で乗り合わせたタクシードライバーとは、おおいに話が盛り上がった。運転席と後席を隔てるビニールカーテンのようなものがないなかでの運転は感染リスクも高く、気苦労が多いような気もしたが、きさくに話しかけてくれた。

 話はもっぱら新型コロナウイルス感染拡大の話。東京アラートも解除され、一連の自粛要請も完全解除となってから乗ったのだが、稼ぎ時の週末の金曜日でもタクシー会社で保有している全タクシー台数の半分ほどしか稼働していなく、それでも週末にしてはかなり暇とのことであった。

「社用族、つまり接待などが戻らない限りは、夜のニーズも戻らないので、厳しい状況が続きそうですね。銀座はもともと社用族がメインで飲食する街なので、いまも状況はひどいですよ」とのこと。緊急事態宣言発出中は乗務する機会がほとんどなかったという。それでもこのドライバーはすでに年金を受け取りながら乗務しているので、まだなんとかなっていると語ってくれた(別のドライバーは市役所の無利子での生活費用貸付制度を利用したと話してくれた)。

 コロナ禍での夜の街がいろいろ言われているが、以前に比べて訪れる人が多くなったとはいえ、その多くは若い人となるので、もともとタクシーをほとんど利用することはないため、まだまだタクシーにとっては受難のときが続きそうである。

 いますぐ先の未来ではないが、そのうちSF映画のように無人運転タクシーが走り出すことになるといわれている。そうなると、飛沫感染などは関係ないので、AIを駆使して饒舌な、“人工ドライバー”が、当たり前のように話しかけてくる時代がやってくるかもしれない。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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