リムジンの普及でセダンのドライバーズカー色が濃くなった
もう少し詳しく高級セダンの領域の見ると、ドライバーズカーとショーファーカーとの境はどこになるのか? 例えば、ロールスロイスやベントレーのセダンでも、欧米ではドライバーズカーとしての需要が結構高い。ショーファーカーとしての境は、リムジンかどうか、だと思う。リムジン設定としてロングホイールベース化したモデルは、外観的にも走り味としても、わざわざドライバーズカーとして乗りたいとは思わないはず。
中国では、メルセデス・ベンツのEクラスでもリムジン仕様の「L」設定があるが、基本的にはショーファーカーである。このように、高級セダンのショーファーカー需要が、はっきりとしたリムジン需要に大きく振れたことで、高級セダンをドライバーズカーとして存続するために、スポーティな走りを商品トレンドとする必要が出てきたといえる。
さらに近年では、SUVの高級化や多様化が進み、高級セダン市場をSUVが侵食し始めている。こうした状況も重なり、背が高く重心も高いSUVでは実現しづらい、スポーティな走り味を高級セダンの売りにする傾向が高まったともいえる。
今後、SUV市場がさらに拡大するのか、それともセダン回帰が進むのか。そんな、未来市場の姿がまだはっきりと見えないなか、高級セダンのスポーティ化の流れは当面続きそうだ。