衝突時のエネルギーが大きくなり重大事故につながりやすい
たとえば、2018年9月には千葉市の路上で、大型トラックの横転により軽乗用車が下敷きになり、軽乗用車に乗っていた家族3人が犠牲になる事故が発生。このトラックは10トン以上の過積載だった可能性があるといわれている。
2004年7月には、岐阜県でトンネルの出口付近でトラックと乗用車が正面衝突し、乗用車側の一家5人とトラックの運転者2人の計7人が死亡するという事故があった。
このトラックは、最大積載量の約1.5倍となる約4.5トンの建築資材を積んで走行しており、過積載による重みと空気圧不足によってパンクし、ハンドル操作ができなくなったとされる。
2017年3月には、最大積載量が約28トンのトレーラーが、約34トンの積み荷を載せていて、そのうち約9トンの積み荷が2個落下し、1個が対向車を直撃。女性2名が死傷(兵庫県の県道)。
クルマには慣性の法則が働くので、重たいクルマは大きな力を加えないと動き出さないし、重たいものほど動き出すと止まりづらい。
つまり、
・過積載のクルマは、通常の制動力で減速や停止ができなくなる。
・過積載のクルマは、慣性力が直進方向に働きトラックが曲がりにくくなる。
・過積載のクルマは、旋回時にロールモーメントも大きいので、横転しやすくなる。
・過積載のクルマは、タイヤや車軸が破損するリスクが増える。
・過積載のクルマ(トラック)は、荷崩れ発生の可能性が高くなる。
といったリスクを抱えることになり、重量が重たい分だけ衝突時のエネルギーも大きくなって、重大事故につながりやすい。
国土交通省の調べでは、通行台数の0.3%が過積載の大型車両で、特殊車両の約3割が過積載とのこと。
過積載には許容範囲はなく、中型・大型トラックでは
過積載割合5割未満:違反点数2点(酒気帯び14点)・反則金3万円
過積載割合10割未満:違反点数3点(酒気帯び15点)・反則金4万円
過積載割合10割以上:違反点数6点(酒気帯び16点)・6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金
となり、ドライバーだけでなく、運行管理者や運送事業者、荷主まで罰せられることがある。
それだけ危険度が高い、重大な違反ということなので、悲惨な事故を防ぐためにも運送業者のモラルにまかせっきりにするのではなく、社会全体で過積載がゼロになるよう取り組むことが重要だ。