「プリウスの最上級グレードをフルオプションで」という人も
「以前、まだトヨタ・エスティマ ハイブリッドがあったころ、お子様のいない、夫婦ともに公務員というお客様が、『お金があり余って困る』として、エスティマ ハイブリッドを購入されました。そして半年後にエスティマハイブリッドが一部改良を実施すると、半年でお乗り換えいただいたことがあります。しかも下取り車、購入車ともに総額600万円ほどする最上級クラスのモデルを乗り継いでいただきました。『同じような金額のベンツに乗ると、いかにもお金があると見られてしまうが、エスティマはミニバンなので、そもそもそんなに高くないと思われているのでカモフラージュになる』と、おっしゃっておりましたね」(前出セールスマン)。
今回の新型コロナウイルス感染拡大でも、レベルはそれぞれとしても国民すべてが生活困窮に陥るわけではない。所得格差が拡大する一方で、ダメージが少なく、所得や資産に余裕のある層は確実に増えているのである。
どんなモデルが“隠れ高級車”となりやすいかといえば、トヨタ車で例をあげればPHVやFCVなどがなりやすいといえよう。最近デビューしたRAV4 PHVもそんな1台といえる。RAV4はもともと5ナンバーサイズで初代がデビューし、年配なひとほど“手軽なSUV”という印象が強いが、RAV4 PHVの最上級グレードは539万円となり、ハイブリッド4WDの最上級グレードより、さらに150万円ほど高いので、“隠れ高級車”にはピッタリ。
たとえばメルセデスベンツAクラスセダン A250 4MATICの車両本体価格は490万円となるが、日本でも「ベンツ=高級車」というイメージは世間で広く浸透しているので、RAV4 PHVより安いベンツAクラスセダンを買ったとしても、「あの家ベンツを買った」と、RAV4 PHVを購入するより近所の話題をさらってしまうことにもなりかねない。RAV4 PHVではまず話題をさらうことはないだろう。あとはプリウスPHV(最上級で約435万円)やミライ(約740万円)なども、見た目と価格のギャップが大きいので“隠れ高級車”としてピッタリだ。
「過去には、学校の校長先生が『プリウスの最上級グレードでフルオプションが欲しい』として、契約をいただいたこともあります」(前出セールスマン)。
あくまで自己満足とはなるのだろうが、立場上“世間からは気づかれずに高いクルマに乗る”というニーズは確実にあり、新型コロナウイルスが猛威をふるい、WITHコロナとなったこれからは、ますますこのようなニーズが高まっていく可能性は十分高いといえよう。