販売現場では「コロナ禍でも安定している層」が現在のターゲット
2020年5月の新車販売台数統計が自販連(日本自動車販売協会連合会)と全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から発表されると、登録乗用車は前年同期比58.2%、軽四輪乗用車で前年同期比44.1%と、統計だけを見ると散々たる結果となっている。
この結果について興味深いのは、登録車より軽自動車のほうが、前年比で販売台数を大きく落としているところ。単なる購買意欲の減退だけでなく、緊急事態宣言発出による全国的な外出自粛や新型コロナウイルス感染拡大による新車の生産調整など、さまざまなものが複合的に重なっているので一概には言えないが、財布の中身にシビアな庶民層の購買動向が反映されやすい軽自動車のほうに、結果的により大きい影響が出ていると考えられる。
現場のセールスマンに「このような状況下ではどんなひとに対して新車を売り込むのか?」と聞くと、「民間企業のサラリーマンの多くの方は新型コロナウイルスの感染拡大により、収入、雇用など、あらゆる不安要素が増しているのでなかなか厳しいです。ただ、公務員はこのようななかでも、収入、身分ともに安定しています。さらに、大手企業や官公庁を勤め上げて年金を受給している富裕層のみなさんは、資産も充実しており、悠々自適な生活を送られているので、公務員と富裕層で年金にてリタイア生活しているみなさんがねらい目と考えております」とのこと。
ただ、このようなターゲット層でもドイツ系高級車などにホイホイと乗っているひとも当然いるが、世を忍んで一見そんな高額には見えない、“隠れ高級車”にこっそり乗っているケースも多い。