スリップサイン手前でも性能は下落! 減らずとも経年劣化! 危険を避けるための「タイヤ交換」本当の目安とは (2/2ページ)

溝が残っていても4〜5年経ったら交換したほうがいい

 まずいつ製造されたか。ご存じの方も多いと思うが、タイヤのサイドにはいつ製造されたかが記されている。4桁の数字がそれで、後ろ2桁が製造された西暦の下2桁(写真の場合2017年)と何週目(写真の場合14週目)かがわかる。ゴムは生モノだけに熱や紫外線などによってどんどんと劣化していくが、少なくとも4年から5年ぐらいが交換の目安だろう。それだけ経過したタイヤは溝が残っていても交換したほうがいい。

 もうひとつが溝。生産されてからそれほど経過していなくても、溝がなくなってきたら交換したほうがいい。スリップサインが表面に出たときでなく、スリップサインの山の2倍のあたりで交換したほうが安心だ。スリップサインは残量1.6mmで出るが、これは車検の基準の境目というだけであって、実際に目にしてみるとツルツルに近い。

 溝というのは道路表面にある水膜を取り込んで、ゴムをグリップさせるために付けられているものだけに、1.6mmというのは見ただけで力不足。その2倍だとそこそこの残量になるので、安全マージンという点でもここで交換しておきたい。

 もちろん溝の残量はできるだけ全体が均等なのが理想。車種によっては偏摩耗してしまうこともあるが、残量の確認は一番減っている部分で行なうようにする。また、あまりにひどく偏摩耗している場合は、アライメントの狂いなどが考えられるので、調整などをしてもらったほうがいい。そのままにして新品タイヤに交換しても同じように偏減りしてしまい、寿命まで使い切れないため財布にも優しくない。

 最後にできるだけ寿命を延ばす方法は、まずは空気圧の点検補充。少ないとタイヤがよじれやすくなり、構造的に寿命を短くしてしまう。そのほか、定期的に表面のヒビを点検確認して、溝の残量を4本とも全体をチェックする。タイヤの価格もどんどん高くなっているので適切かつ安全に、そのうえでできるだけ長く使えるようにしたい。


近藤暁史 KONDO AKIHUMI

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