クルマのブレーキから火や煙が出た! そもそもブレーキは燃えても大丈夫なのか? (2/2ページ)

サーキットを走る人はスポーツパッドに変えると良い

 仮にブレーキから煙が出たまま走り続けると、フェード現象によって、ブレーキを踏んでも制動力が立ち上がらなくなるし、最悪、ダストシートが燃えたり、漏れたブレーキフルードが発火することがあるので要注意。燃えにくいといわれているブレーキフルードだが、国土交通省自動車交通局の試験では、195℃付近から発熱反応があり、300℃前後で発火が認められたとある。

 また、同じく国交省が発表した「平成30年 自動車事故・火災情報の統計結果」を見ると、装置別車両火災の5.9%は、制動装置=ブレーキ関係が火災の原因となっている。こうした車両火災を起こさないためにも、ブレーキがフェードしかかったら、そのまま走り続けるのは厳禁。

 レーシングカーがブレーキ時にローターを真っ赤にさせていることがあるが、あれはそもそもパッドもローターもキャリパーも耐熱性が圧倒的に違うので、参考にはならない。またメタル系のパッドを入れているクルマは、制動時に火花のようなものが出ることがあるが、これも燃えているわけではない。

 ナンバー付きのクルマでも、市販のスポーツパッドに交換すれば、ローター温度が700度ぐらいになってもフェードしないようになるので、サーキットを走る人はまずパッドだけでもスポーツパッドに変えておこう。

 ストリートオンリーという人でも、一度でもブレーキから煙を出したことがある=フェードさせたことがあるという人は、整備工場でブレーキを点検した方がいい。フェードしたパッドは、表面が熱の影響で炭化して、本来の制動力を発揮できなくなったり、異音を出したり偏摩耗している場合があるからだ。また、ブレーキフルードにも熱の影響で気泡が入り、ペダルフィールが悪くなることもあるので、ブレーキのエア抜き作業も忘れずに。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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