いまじゃ当たり前すぎて誇れない! 「TWINCAM」「DOHC」「TURBO」消えたクルマのエンブレム&ステッカー (2/2ページ)

新技術の実用化が進む時期には多くのエンブレムが誕生

4WS

 ホンダの3代目プレリュードに量産車では世界で初めて採用された4WSも80年代後半から流行った技術。日産のHICASなども、エンブレムやステッカーになって貼られていた。4WS自体は、不自然さもあってその後いったん下火になるが、近年「4コントロール」や「リヤ・アクティブ・ステア」、「リヤ・アクティブ・トーコントロール」といった呼び名で復活してきている。

VTEC

 1989年に2代目インテグラに採用された、可変バルブタイミング・リフト機構。実用車の性格とスポーツカーのパフォーマンスを両立できる画期的な発明で、ホンダのインテグラ、シビック、S2000、NSXなどの心臓部には欠かせないシステムだ。これもターボなどに匹敵する高性能の証として、EGシビックなどには「VTEC」のステッカーが大きく貼られていたが、VTECもバリエーションが広がり搭載車も増えたことから、とくにエンブレムでアピールすることはなくなってきた。

その他

 他にも「4WD」とか「FULL TIME 4WD」といったエンブレムもあったし(軽トラなどではいまでもよく見る)、ABS(初期のホンダはA.L.B)やATTS(ホンダの前輪左右駆動力配分システム)、VGSとか、いろいろあった。1990年代初頭にアクティブサスも流行ったが、エンブレムがあったかどうか?

 かつてこうしたエンブレムが流行った背景のひとつには、新技術、電子制御がどんどん実用化される時期で、それらのハイテクをアピールしたかったことがある。

 もうひとつが、みんなクルマが好きだったこと。外観が同じでも、エンジンが数百cc大きければエライ、スタンダードより「デラックス」、「デラックス」より「スーパーデラックス」、「ロイヤルサルーン」だ「リミテッド」だ、とわずかな違いを気にした人が多かったから。

 だから「ステッカーチューン」というのも、それなりの価値があったわけだが、いまはそんな違いには興味がないという人が増えたせいか、ハイテク系のエンブレムは廃れてしまい、その代わり「HYBRID」や「PHEV」、「ENE-CHARGE」などエコカー系のエンブレムはよく見るようになったが、これらもそのうち“当たり前”になり、やがてエンブレムも姿を消していくだろう。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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