各メーカー独自の燃焼室の形が音を変えている可能性も
一見したところ同じ排気量、同じ気筒数に思えても、エンジン音が違うということはある。なぜそうなるのか、エンジン技術者に尋ねたことがあるが、その技術者も、ほかのメーカーでエンジンを開発した経験はないので、はっきりとはわからないとの答えだった。ただ、ひとつの可能性として「燃焼室の形は、メーカーごとに伝統的に永年培われてきた作り方があり、そこに違いがあるはずで、それによってガソリンの燃焼の仕方も若干異なり、結果的に違う音に聞こえるのではないか」との話であった。
かつて、80~90年代にグループCと呼ばれるプロトタイプスポーツカーのレースが行われ、これに参戦したトヨタと日産のレーシングエンジンの音は、明らかに違っていて、遠くからで姿を見なくても、いまどちらのマシンが走っているか音でわかったほどだ。
同じ気筒数で、同じ排気量といっても、ボア×ストロークが異なれば微妙に総排気量は違ってくるし、ボアと呼ばれる燃焼室の直径が違えば、火炎伝播の時間や様子も変わるだろう。もちろん、バルブ挟み角やピストン頭頂部の形状によっても、燃焼室全体の形は変わってくる。それらによってガソリンの燃え広がり方も変わり、音が違ってくる可能性はある。