街乗りでもスイスイ走れる小回り性に心酔
走る準備を整えたら、いよいよ出発!
ホールド性の高いスポーツシートはサイドサポートの彫りが深く、身体の収まりも座り心地も抜群にいい。クッションの厚みがしっかりとられているだけでなく、身体が滑りにくいアルカンターラ素材は上質な見栄えと心地よい肌触りを与えてくれる。さらに、輸入車の右ハンドル仕様は日本人の体格に合わない場合があったりするけれど、このクルマはシートの前後のスライド量の幅が広く、前寄りにスライドする身長162cmの女性の私でも、ペダルとハンドルを操作しやすいポジションに合わせやすい。ステアリングは上下に加えて、前後の調整も可能なチルト&テレスコピックが標準装備。小柄な奥さまから体格のいいダンナ様までがそれぞれの体格に合わせた最適な運転姿勢がとりやすいことも安全ドライブに貢献してくれる。
都内の編集部を出発すると、首都高のインターチェンジまでは一般道を走行。このクルマには、205馬力を発揮する1.6リッターの直列4気筒の直噴ターボエンジンが搭載されていて、そこにEDCと呼ばれる7速のデュアルクラッチトランスミッションが組み合わされている。
アクセルペダルを踏み込むとリズミカルにシフトアップ。ブレーキ時のシフトダウンに遅れはなく、変速ショックも感じさせない。ペダル操作とタイヤの転がりが密に連携して、必要なトラクションを得て走る感覚は、思いどおりにクルマを操る喜びに目覚めさせてくれる。路面を丁寧に捉えて走るおかげか、18インチタイヤの乗り心地も快適に感じられた。
交差点やカーブなど、少ない舵角でスイっと曲がる小回り性はクルマが小さく感じるもので、モタツキのない軽快な身のこなしは、なんとも小気味がいい。メガーヌ スポーツ ツアラーGTの前後のタイヤの間隔はハッチバックよりも40mm延長されているので、本来の最小回転半径は5.6m。ところが、ルノーが「4コントロール」と名付けた4輪操舵機構により、時速60km未満の走行では、後輪が最大2.7度まで前輪と逆位相に切り込まれ、最小回転半径は5.2mに短縮される。40cm分の小回り性の向上は、想像していた以上に運転のストレスを減らしてくれることに驚かされてしまった。
まずは高速へ。高速域の走行では、小回り性とは相反する安定感の高い走りを披露してみせる。テンポ良く加速して、一旦必要な車速に達してしまえば、エンジンは低回転を維持したまま、静かにクルージング可能だ。時速60km以上で車線変更をする時は、後輪の動きは前輪の切れ込みと同位相に切り込まれるため、安定した走行が可能だ。その一連の制御はごく自然に行われるもので、変に意識させられるようなこともない。
また、車線変更時に、斜め後ろの自車の死角に隠れていた車両に気付かずにいて、ハッとすることがあったりするもの。そんな状況で衝突リスクを低減してくれる機能が後側方車両検知機能。隣のレーンに車両が迫って来ているとドアミラーの警告灯が点灯して、ドライバーにリスクが迫っていることを知らせてくれる。さらに、追突事故のリスクを低減する衝突被害軽減ブレーキ、車両がフラついて、車線を跨ぎそうになっていることを知らせる車線逸脱警報なども標準装備されている。
走る姿勢が安定していると気持ちに余裕が生まれるもの。シフト脇に用意されたドリンクホルダーから片手でコーヒーカップを取り出して口に運ぶ。考えてみれば、走行中にサッと取り出せる場所にカッブホルダーがあるのは嬉しいこと。電動パーキングブレーキはスイッチがコンパクトで邪魔になりにくいし、スマホの置き場はシフトセレクターの奥に配置されている。最近のクルマは手もとのスペースの取り合いで、女性の着座位置からドリンクが取り出しにくいケースもあったりする。その点、メガーヌはドライブ中に自然に使いこなせる配置になっていることも、毎日向き合って嬉しい美点のひとつとなりそう。
そんなことを考えながら走っていたら、スマホのアプリがメッセージを受信。文章の読み上げはクルマが行ってくれるし、返信はフロントガラスから目をそらさずに言葉で語りかけるだけで、文章の作成から送信までをこなせる機能はとても便利。