いまやホンダ車のほとんどの車種がi-VTEC
もうひとつのVTCは、吸気バルブタイミングの位相も連続的に制御するVTC(Variable Timing Control)の略。他社のVVTi(トヨタ)、NVCS(日産)、AVCS(スバル)、バリオカム(ポルシェ)などと基本的には同じ。
エンジンはピストンスピード=回転数によって、吸排気の流速が違う。したがって、流速が遅い低回転のときはバルブを遅めに開いて早めに閉じたほうが、ガソリンも燃焼しやすく排ガスもきれいになる。反対に高回転・高負荷時は、バルブを早めに開いて遅めに閉じた方が充填効率が高まり、パワーアップにつながるので、そのバルブタイミングをエンジンの負荷に合わせて連続的に可変させてやろうというのがVTCの狙い。
わかりやすくいうと、バルブのリフト量を変えるVTECは、食事でいえば、大盛りと小盛りの切り替え。バルブタイミングをコントロールするVTCは、食事の時間を調整し、一番おなかの空いているときに食事を提供する仕組み。
こうしたVTECとVTCを組み合わせ、エンジンの効率を最大限に高め、実用性と高出力、低燃費とクリーン性能を高次元で達成したのがi-VTECというわけだ。
i-VTECは、2000年に登場したストリームに初採用(K20Aエンジン)。以後、3リッターV6のJ型から、660cc直3のS型まで、ホンダ車のほとんどの車種のエンジンが、i-VTECになっている。
いまではハイブリッド車や、バルブ休止システム、VCM(気筒休止システム)、直噴エンジン、電動VTCなどの新しい技術と組み合わさったエンジンもi-VTECと呼ばれ、新世代VTECエンジンは全てi-VTECという位置づけとなった。