ラリーへの参戦は自動車ビジネスに直結する
そもそもラリーという競技は、自動車メーカーがさまざまな自然環境のなかで自社製品の性能を試す良き機会として捉え、ワークス活動として、またはプライベーダ―を支援するかたちで参戦してきた。
古くから、モータースポーツはメーカーにとって、走る実験室、走る広告塔、また社員の士気を高めるためなどが目的とされてきた。なかでもラリーは、F1やスーパーGTなどのロードレースと比べると、使用するマシンが量産ベース、または量産車に近いことで、量産車の実売に直接影響を及ぼしてきた。
その筆頭は、スバルWRXであり、三菱ランサーエボリューションであり、近年ではレギュレーション上、いわゆるホットハッチが参戦マシンの主流となり、その代表格がGRヤリスである。
トヨタとしては、ル・マン24時間やニュルブルクリンク24時間レースとは別の視点で、WRCを捉えていることは間違いない。日本でもヴィッツから改名したヤリスを、改めてトヨタの世界戦略車の中核として捉え、さらにGRというトヨタの企業としての攻めの姿勢を明確にする。
一方で、WRCのコストパフォーマンスについても精査している。近年、F1参戦費用が高騰し、コロナ影響もありF1は来期からの参戦コスト大幅縮小を掲げているが、WRC参戦費用と比べると大きな差がある。
いまのトヨタのように、GRヤリスという量産モデル市場導入が明確になっており、ヤリスファミリー全体に対する実売効果があり、かつ企業イメージアップにつながるWRCのコストパフォーマンスはとても高い。トヨタとともにWRCを戦う韓国ヒュンダイとフォードにとっても、トヨタと同様の発想を持っているはずだ。