おおらかな走りやマッサージ機能で快適そのもの!
走り出せば、マイルドハイブリッドの微力ながらもモーターのアシストがあり、出足からウルトラスムースでトルキーそのもの。そこからの加速感も素晴らしく伸びやかだ。エンジンは高回転まで回しても、乾いた心地よいサウンドを放ち、騒々しさとは無縁と言っていい。
乗り心地はエアサスということもあって、おおらかでストローク感あるタッチに終始。硬めのドイツ勢のSUVとは別世界の乗り味と表現しても過言ではない。高速道路での高度なACC(アダプティブクルーズコントロール/全車速対応、渋滞追従機能付き)を使ったクルーズは、まるで北欧モダンの静かなリビングのソファでゆったりとくつろいだまま、空間移動しているかのような感覚だ。
そうした穏やかで快適無比の走行性能から、操縦性のキビキビ感や、AWDであっても基本的な駆動力となる前輪の確実かつリニアなインフォメーションは大きく望めないものの、それがむしろ乗り味のおおらかさや運転疲労の少なさにつながると思えたのも本当だ。
無論、250馬力、35.7kg-mの動力性能は文句なしに力強い。デフォルトのコンフォート、走りが穏やかになり燃費も向上するエコ(コンフォートに対して車高10mmダウン)、もっとも加速力が強まりスポーティーな走行も可能なダイナミック(コンフォートに対して車高20mmダウン)、悪路で威力を発揮するオフロード(デフロック機能とヒルディセントコントロールが働き、コンフォートに対して車高40mmアップ)、ユーザーが好みでセットアップできるインディビジュアルの5つのモードが選べるドライブモードが、たとえもっとも穏やかな性能となるエコモードでも、交通の流れをリードできるほどのジェントルな速さを備えている。コンフォートモードなら十二分に静かで速い、と感じるはずである。
確かにエコやコンフォートモードでは、パワーステアリングは扱いやすい軽さでスポーティーな走行性能の持ち主とは言い難いが、カーブや山道などでの安定感はさすがにハイレベル。車高、重心を感じにくいフットワークを示してくれるから、安心・安全だ。サスペンションがエアサスでなければ、もう少しシャキッとした乗り味になると思う。
そうそう、インテリアの変更なし、と記したが、48Vマイルドハイブリッドゆえの小さなアドオンがある。それは、メーター内の電池マーク。ブレーキングなどによる回生時にそれがさりげなく点灯するのだ。また、気筒休止状態はまず体感できない。2気筒になったからと言って、いきなり振動やノイズが増えることなど、最新の制御によってあり得ないからだ。
ところで、XC60 B5で31万円のオプションとなるエアサスは、乗り心地面だけでなく、人の乗降や荷物の積載にも有利に働く。そう、スイッチ操作で任意に車高をグーンと下げることもできるのだ。シニアや子供の乗降、アウトドアの重い荷物の積載、そして後席や荷室にジャンプして乗り込むペットにもうれしい機能装備なのである。
最後になったが、最新のボルボには、15種類以上の世界最先端の先進安全技術が満載されている。歩行者やサイクリストに対応する自動ブレーキはもちろん、逆走による衝突事故を回避する対向車対応機能、そしてもっと現実的な機能として、衝突回避支援として機能する、車線変更時などで、ブラインドスポットモニターと合わせて威力を発揮するステアリングサポートがあり、そのアシストの介入の強さは(ステアリングがグイッと引き戻される)、接触事故を未然に防いでくれる高度な機能として注目に値する。
それにしても、空前のSUVブームのなか、国産SUVでなく、ドイツ勢のSUVでもなく、スウェーデンのボルボXC60に乗るということは、個性的かつ、なかなかのセンスのある選択だと感じさせはしないか。そう思わせる空気が、今、世界で、日本で躍進著しいプレミアムブランドのボルボにはある。なお、予算に余裕があれば、販売比率約70%に達する上級のインスクリプショングレードを薦める。メーカーオプションのエアサスのアリナシはともかく、インスクリプショングレードには、世界のSUVであまり例のない、ロングドライブでの肉体的ストレスを一段と軽減してくれる、移動するマッサージャーとなるもみ玉式に近い前席リラクゼーション(マッサージ)機能や、夏、乗った瞬間から背中や腰、太もも部分の暑さを和らげてくれる、気持ち良すぎるシートベンチレーション機能が備わり(汗によるオシャレ着の背中のシワも低減)、経験上、そのリラクゼーション&快適効果は絶大。
XC60が季節、天候、オン/オフの路面を問わない、ロングドライブをラクラクこなし、アウトドアはもちろん、ビジネスユースや都会のオシャレなシーンにも似合いすぎるプレミアムなオールラウンダーだからこそ、である。