FRなどにはすでに確立したHVがあり転用は難しい
日産のSUVにエクストレイルがあるが、こちらはe-POWERと別方式のハイブリッド車がある。エンジン+CVT+モーターのシステムで、モーターのみのEV走行のほか、エンジン走行と、モーター+エンジンでの急加速など状況に応じ使い分ける方式だ。したがって、こちらにあえてe-POWERを差し替えることも考えにくい。
これら以外の日産車となると、後輪駆動のスカイラインとフーガであり、こちらも後輪駆動用の1モーター2クラッチ式ハイブリッドがある。加えて、米国や中国など巨大市場ではプラグインハイブリッド以上の電動化でないと、米国のZEV(排出ガスゼロ車=ゼロ・エミッション・ヴィークル)や中国のNEVの対象外となり、導入を達成できないことによる反則金(クレジット)を回避する役を果たさない。
以上のような状況から、前輪駆動を基にした現在のe-POWERは、運転支援機能への適応なども含め、走行性に優れたハイブリッドシステムではあるが、その広がりは限界がありそうだ。
EVに関しては、昨年の第64回東京モーターショーで、SUV(アリアコンセプト)と軽自動車(ニッサンIMk)のコンセプトカーを日産は発表している。そのうえで、プラグインハイブリッドも視野に入れながら、今後はEV+レンジエクステンダー(エンジン発電機付)的な電動化であれば、e-POWERで得た知見を広げながら、より多くの車種へ展開していくことができるかもしれない。