世界初採用の先進メカニズムを搭載したCVTも一代限りとなった
3)トヨタ・オーパ
トヨタは手堅いメーカーというイメージもあるが、ハイブリッドなど先進的なメカニズムにも積極的にチャレンジするという面も持つ。そんなトヨタのCVTは、1999年の東京モーターショーでお披露目、2000年より発売開始した「オーパ」の2リッター車で採用したのが最初だ。5ドアショートワゴンというべきユニークなシルエットで、コラムシフトの採用による前席左右ウォークスルーや後席のスライド機構などパッケージでも新しい提案を示した意欲作だった。
高名な自動車評論家である故・徳大寺有恒さんが、そのキャビンの使い勝手を絶賛したということでも知られているが、ユニークな外観が災いしたのか、販売自体はブレイクすることなく、2005年にひっそりとモデルライフを終わらせた。
4)ダイハツ・ソニカ
軽自動車マーケットがハイトワゴンからスーパーハイトワゴンに移行しつつあるタイミングで、ダイハツが高速ツアラーとして2006年にデビューさせたのが「ソニカ」。全高1470mmのローフォルムとターボエンジンの組み合わせは、まさしく高速道路に特化した軽自動車といった雰囲気だったが、世界初採用となった「インプットリダクション式3軸ギヤトレーン(CVT)」の採用も、そうしたツアラー性能を高めるメカニズムの一環として採用されたものだった。
具体的には、インプットリダクション構造によりベルト部の駆動損失とインプット軸等価イナーシャの大幅な低減をはかり、3軸式ギヤトレーンによって部品点数の削減やユニットの小型化を狙った革新的なCVTとして生み出された。最新の「タント」では高速域でギヤ駆動を併用するハイブリッド型CVTを独自に開発したダイハツだが、そうした高速性能を重視したCVTの萌芽が、ソニカのCVTにも感じられる。高速料金が安い軽自動車のツアラーといのはロングツーリング派には評価されたが、時代に合わなかったのか、ソニカのモデルライフ自体は3年で終わり、その名前も途絶えてしまった。