開口部の剛性を高めるためにあえて段差をつけることも!
先代は段差がなかったのに、新型で段差ができてしまったクルマと言えば、トヨタ・プリウスだ。先代モデルは開口部段差0。しかも、後席を格納しても、フロアは限りなくフラットだった。が、現行モデルは開口部段差が約100mm(4WDはフロアが上がるので段差は約45mmまで短縮)にもなってしまった。しかも、後席格納時の段差までFFだと約100mmあるのだから、ラゲッジの使い勝手としては、先代のほうがよかったと感じるユーザーもいるかもしれない。
ところで、段差をあえてつける考え方もあるにはある。その理由は大きく分けてふたつ。ひとつ目は荷物の積載性には大きく関係しないが、大きな開口部の剛性をより高めるため。もうひとつは、坂道の上り坂に前向きにクルマを止めていて、荷物を取り出す際、荷物が一気に滑り出てこない安全のためだ。とはいえ、急な坂道の途中にクルマを止め、荷物を出し入れするケースは駐車場が急坂にあり、上り方向に止めなくてはならない、かなりレアなケースとなるはずだ。重い荷物を出し入れしてみれば分かるが、ラゲッジスペースの開口部には段差がないほうが、圧倒的に使いやすいと思える。
そんな事情を知ってか、面白い独自のアイディアを盛り込んだクルマがある。それはスバル・インプレッサスポーツ、および、それをベースにしたクロスオーバーモデルのスバルXVだ。ラゲッジスペースには、ハッチバックモデルらしく、通常約70mmの段差がある。が、フロアボード後端を持ち上げ、左右2か所のフックで開口部のツメに固定すると、なんと開口部段差は約25mmとなり、ほぼないに等しくなるのである。
ボク自身がインプレッサスポーツが登場する以前から、スバルの開発陣にペットの乗せ下ろしを考慮すれば、ラゲッジルームの開口部には段差がないほうが絶対によい……と口をすっぱくして進言していたことが、功を奏したのかもしれない(勝手な想像ですが)。
また、ホンダ・オデッセイは、3列目席使用時では、ラゲッジスペースの開口部に約260mmの段差があるものの、3列目席を床下にすっきり格納すると、段差なし。大容量ワゴンのように使える便利さがある!!
アウトドアやキャンプなどで、重い荷物を出し入れする機会が多いというなら、もちろんSUVやワゴン、ミニバンなどのジャンルのクルマを選んでいるはずだが、できるだけラゲッジルームの開口部に段差のない車種を選ぶと、荷物の積み下ろしは断然、ラクになるに違いなし。大型犬などのペットをラゲッジスペースに乗せることもある愛犬家もまた、愛犬の安全のためにも、開口部に段差のないクルマを選んでほしい。
加えて下の写真のように、ラゲッジスペースをベンチ代わりにして腰掛けやすいというメリットもあったりして……。