荒削りだがファンは熱狂! 1980年代にムーブメントを巻き起こしたクルマの技術5選 (1/2ページ)

1980年代だからこそ登場したインパクト抜群のエンジンも!

 クルマの完成度は年々上がっています。エンジンは常に最適な燃焼状態になるよう制御されていますし、車両安定系デバイスはドライバーが気付かないところで、さまざまなサポートをしてくれていたりもします。ですから、誰が乗っても性能を引き出せるようになっています。各種デバイスは黒子に徹していて、電子制御を実感する機会も減っています。

 しかし、1980年代は違いました。これまでになかったような斬新なテクノロジーが登場して、それが各社・各車の個性になっていました。さらにいえば、そうしたテクノロジーはその存在をドライバーにアピールするものでした。黒子ではなく、ドライビングの主役といえる強いキャラクターを発していたのです。

1)VTEC

 その代表格といえるのがホンダの「VTEC」でしょう。1989年インテグラに搭載されたB16A型エンジンに初採用されたVTECは、可変バルブリフト&タイミング機構。走行中にカム山を切り替えるという大胆なメカニズムで、日常走行での扱いやすさや燃費性能とスポーツ走行でのカーンと高回転まで一気に駆け上がるフィーリングを両立するというものだったのです。

 現代のテクノロジーであれば、その切り替えをシームレスに感じさせるようにさまざまな制御を加えるのでしょうが、この当時はあえて切り替えを明確にすることがテクノロジーの魅力と感じられる世相でした。ですからVTECがハイカム側に切り替わるのは誰でもわかるくらい明確でしたし、はっきりと段付き感がありました。しかし「それがいい」という時代だったのです。

2)5バルブエンジン

 エンジンでいえば、三菱が軽自動車のミニカダンガンに載せた5バルブヘッドのエンジンもインパクト抜群のメカニズムでした。吸気×3、排気×2と合計5バルブヘッドの3気筒エンジンでしたから全部で15バルブエンジン。NAとターボが用意されていました。ライバルの4バルブエンジンと比べて明らかな差を体感できるほどではありませんでしたが、5つのバルブをデザインモチーフにした専用アルミホイールはオーナーにとって自慢の一品だったかもしれません。

 その後、フルモデルチェンジしたミニカダンガンには4気筒の合計20バルブエンジンが搭載されたりしましたが、5バルブテクノロジーは量産車からはフェードアウト。効率だけでいえば4バルブのほうが有利という結論になってしまったわけですが、技術進化の途中だからこそ生まれたテクノロジーを所有することができたのも80年代の楽しみでした。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
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