教習所のカリキュラムは実践的ではない項目も……
本来ならこの季節、春休みを利用して運転免許を取得し初めての街へ走り出すビギナードライバーが多かったのではないだろうか。しかし、今年は新型コロナウイルスの影響で外出が自粛され、運転免許合宿でクラスターが発生。また運転免許試験場でも感染者が発生するなどして閉鎖され、運転免許試験が受けられないという異常な事態となってしまった。
また、普段は電車通勤しているものの、満員電車内での3蜜を回避するため、マイカーでの通勤を始めたという人も多いという。そのためペーパードライバー講習希望者が増え、中古車の販売も落ち込みが少ないらしい。
自動車運転免許は法律で定められたさまざまな基準を満たせば誰にでも交付され、発行されたその日から一般道を運転できる。まだ運転免許を取得していない人は通常、まず自動車教習所に入り運転を習うのが一般的だ。そこでは道路交通法を座学で教わり、道路交通法に則った運転ができるように実技練習する。
じつは僕は教習所に行かずに免許を取得した。試験場で筆記試験と技能試験を受け合格したのだ。自動二輪に乗っていたから道交法は独学でも学べた。問題は技能試験。仮免許と本免許の二段回の試験に受からなければならないので、かなり難関だ。僕は仮免許、本免許をそれぞれ2回ずつ受験して合格できた。
受からなかったときに指摘されたのは、クルマに乗り込む前に前と後ろを確認すること。着座してミラーを調整する前にシートベルト締めること、踏切で停止したときは窓を少し開け、警報音などを耳で確認することなどだ。試験官から「教習所を受講していれば教わることだ」と注意された。
しかし、ミラーが先かシートベルトが先かがどうして問題なのか? 試験場内の仮設の踏切で電車が来ないのは明らかなのに、何故窓まで開ける必要が? そんな疑問がいくつも浮かんだが、試験は定めた方式に則っているかどうかを確認する場所だから、と嗜められた。わかっていればいるほど馬鹿らしいが、注意された事柄をわざとらしいほど大袈裟に実行したら合格できた。
こうした方式論に固執した認可基準がいまだに続いているのだろうか? そして、基準を満たした運転だけできていればいいのだろうか?
免許を取得したら激混みの東京の一般道だろうと高速道路だろうと、山道だろうと、700馬力のランボルギーニだろうと運転していいことになる。そこで実際に起こる事柄に対処するのは経験から学べというのが現状なのだ。知らない事態に直面し、正しい対処ができなければ事故に直結する。それでも、もし事故を起こせば経験したことがない、知らなかった、運が悪かったでは済まされない。