軽自動車の保有台数が多いほどお得になる傾向
その理由は、自賠責保険料が保険料収入と保険金支出の差額で決まるからだ。税金と違って、軽自動車を制度的に安く抑えているわけではないため、軽自動車の保有台数が増えて保険金支出も上昇すれば軽自動車税も高額になる。
以上のように、軽自動車と価格が同等の小型車の維持費を総合的に計算すると、税金と自賠責保険料の差額は3年間で約8万円だ。メンテナンス費用を含めて、3年間で11〜14万円、1年当たり4〜5万円の差額に収まる。
そのためにクルマの所有パターンが「1世帯に1台」ということが多い東京都では、軽自動車の普及率も低い。逆にひとりに1台の割合で所有する地域では、軽自動車の普及率も高まる。1台だけの所有なら1年当たり約5万円の差額でも、4台持てば20万円に拡大するからだ。
従って軽自動車にとって税金の安さというメリットは、1世帯当たりの保有台数によって変わる。そして軽自動車が新車として売られるクルマの37%を占めるに至った一番の理由は、実用性が優れていることだ。
今の軽乗用車の販売内訳を見ると、ホンダN-BOXやダイハツ・タントといった全高が1700mmを超える車種は50%弱に達して、スズキ・ワゴンR、ホンダN-WGNなど全高が1600〜1700mmの車種も35%を占める。つまり軽乗用車全体の80%以上が背の高い車種になり、N-BOXやタントの室内はコンパクトカー以上に広い。4名で乗車しても快適で、後席を畳めば自転車なども積める。
ユーザーに関心が高い安全装備も充実しており、ホンダ車で自転車を検知できる衝突被害軽減ブレーキを最初に採用したのはN-WGNだった。海外向けに造られた普通車とは異なり、日本のユーザーを見据えた商品開発により、軽自動車は絶好調に売れている。コストでも、維持費でもなく、共感の得られるクルマ作りが人気の秘訣だ。