クルマ好き注目もサーキットじゃない! 日本にある「甘い」ニュルブルクリンクとは (1/2ページ)

クルマ好きの家族が営むアットホームなお店!

 世界的に蔓延した新型コロナウイルスの影響により、当初に予定されていた5月23日〜24日から9月24日〜27日に延期されたニュルブルクリンク24時間レース。舞台となるドイツ・ニュルブルクリンクでは、3月中旬からVLN(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)を含めすべてのレースが休止となっている状況だが、このコロナ禍においても日本の“ニュル”は健在で、福岡県を拠点に営業中とのこと。というわけで、福岡県在住の筆者が早速、福岡の“ニュル”に潜入してみた。

 といっても、全長が20km以上もあるサーキットの話ではない。今回、潜入したのは福岡県岡垣町に2012年11月にオープンした洋菓子店。その名も「ニュルブルクリンク(Nurbrugring)」で、もちろんドイツの有名コースに因んだ店名だ。当然、クルマの愛好家なら、自動車販売店あるいはチューニングショップなどクルマ関連のお店をイメージしがちだが、この福岡県のニュルは雑貨とケーキの専門店で、クルマに関する営業は行っていない。

 なぜ、福岡県の雑貨とケーキのお店が、ドイツのサーキットと同じネーミングなのか? 早速、同店の河野禎和さんにお話を聞くと次にように答えてくれた。

「家族で経営しているお店なのですが、家族みんながクルマ好きだったということもありますし、お店がオープンする直前にニュルブルクリンクの運営会社が破綻(注:2012年7月)したということもあったので、なんとか、憧れのサーキットの名前を残したいと思って勝手に名付けちゃいました」

 こうして福岡県のニュルが誕生したわけだが、河野さんによれば「そもそも、地元のお客さんの多くがニュルブルクリンクサーキットのことを知らないですからね。当初は店名を読めない方も多かった」とのこと。しかし、その一方で、「徐々にクルマ好きの方が訪れるようになって、お店の前で記念撮影をされる方が増えてきました。もっとも遠方のナンバーとしては釧路ナンバーのお客さんがいらっしゃいましたし、千葉県や東京都から愛車で自走される方もいます。みなさん、クルマを手放す前にとか、新しいクルマを購入したというタイミングで来店するようです」と語る。

 その結果、福岡県のニュルは知るひとぞ知る隠れた“聖地”となり、多くのクルマ好きが愛車で来店し、記念撮影を行うほか、近年はオーナーズミーティングの会場として利用する方も多いという。ちなみに同店でも訪れたファンの記念撮影を行っており、店内の壁に記念写真を展示するほか、十数冊にわたってアルバムにもファイリングされており、数にして約1700台以上のオーナーを収録。

 さらに近年は店名を縁にクルマ関連のイベントにも声をかけられるようになり、福岡県北九州市で行われている「門司港トレロカーミーティング」や、大分県・オートポリスを舞台に開催されているレース「スーパーGT」にもオリジナルの販売カーでブースを出店。そのほか、福岡県出身のプロレーサー井口卓人選手の依頼で、井口選手が主催するカートイベントにもブースを出店しているという。

 とはいえ、同店では店名をロゴ化したオリジナルステッカーこそラインアップしているが、前述のとおり、クルマ関連のグッズは販売していない。基本的に雑貨とケーキのお店だが、どちらも魅力的で充実した品揃えとなっている。


廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

愛車
スバル・フォレスター
趣味
登山
好きな有名人
石田ゆり子

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