シエンタがマイナーチェンジし売上が加速した
自販連(日本自動車販売協会連合会)から登録車、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から軽自動車の、それぞれ2020年4月の販売台数統計が発表された。例年でも新車販売が鈍るとされる4月だが、やはり新型コロナウイルス感染拡大も影響し、全体では低調なものとなっている。
自販連による、登録車のみでの通称名(車名)別販売ランキングにおいて、前年同月比(2019年4月)で見ると、“微減”で踏みとどまっている車種も目立っている。そのなかで、登録車のみの販売ランキングで3位にトヨタ・シエンタが入っている。
トップのトヨタ・ヤリスはヴィッツの後継となる新規投入車、ホンダ・フィットはフルモデルチェンジしたばかりの新型車だが、シエンタは2015年にデビューし、そろそろフルモデルチェンジの噂が出てもおかしくないモデルレンジなのに健闘している。例年4月はホンダの積極的な販売促進活動が目立つなかでも、宿敵フリードに952台差で勝っている。
シエンタとフリードは、いまどきの日本国内の新車販売では珍しい“ガチンコ勝負”で販売台数を競い合っているモデル。しかし、昨年あたりからフリードが引き離される傾向が目立っている。自販連統計で、フリードがフルモデルチェンジして現行モデルとなり、フルカウントできる2017年から暦年(1月から12月)締めでの年間販売台数を比較すると、2017年はなんとフリードが7558台差(月販平均629台)をつけてシエンタに勝っていた。
しかし、2018年にはシエンタが9927台(月販平均827台)差をつけてフリードに勝ち、2019年には2万5284台差(月販平均2107台)をつけてシエンタがフリードに勝っている。
シエンタは2018年に、フリードは2019年にマイナーチェンジを実施している。改良モデルの切り替え時には、一時的に販売台数が落ち込むのが一般的だが、2019年のフリードの“負けっぷり”は、それまでのデッドヒートのような状況とは一線を画している。このような“状況変化”の立役者ともいえるのが、シエンタが2018年のマイナーチェンジのタイミングで追加設定した2列シート仕様車なのである。シエンタのマイナーチェンジが2018年9月に実施されており、2019年に入ってからタクシー需要が増えて販売増に大きく貢献したのである。