先代アクシオ&フィールダーが今でも売れている
2020年3月におけるカローラの登録台数は1万6327台で、この内の約8000台(比率に換算するとカローラシリーズ全体の49%)は、2019年に発売された新しいツーリングが占める。同様に新しいセダンは約3000台(18%)だ。2018年に登場した5ドアハッチバックのカローラスポーツは約2250台(14%)になる。
そして残りの約3100台(19%)が、先代型の継続生産車になるカローラアクシオ&フィールダーだ。新型のカローラセダン/ツーリング/スポーツは3ナンバー車だから、法人ユーザーは購入しにくい場合がある。そこで5ナンバーサイズのアクシオ&フィールダーも継続して扱う。この台数が意外に多い。ちなみに継続生産を差し引いた新しいカローラシリーズの台数は、3種類のボディを合計して1万3250台だ。この販売実績は2020年3月のヤリスと同程度になる。
トヨタの販売店に尋ねると、カローラの売れ行きについて次のように述べた。
「新型カローラは、ボディを3ナンバーサイズに拡大して内外装や走りの質を高めたから、先代型からの乗り替えに加えて、プリウスからカローラに移るお客様も増えています。とくに現行プリウスは全幅が1750mmを超えており、このサイズアップを敬遠するお客様も、ボディが少し小さなカローラセダン&ツーリングを好むんです」。
先代型を継続生産するアクシオ&フィールダーについては、「法人のお客様では、3ナンバーサイズのボディ、自動車税が少し高い1.8リッターエンジンなどが購入の妨げになりやすい。そこでエンジン排気量が1.5リッターに収まる5ナンバーサイズの先代アクシオ&フィールダーを用意しました。ワゴンのフィールダーは、前後席ともに居住空間が広く、荷物も積みやすいから配達にも適します。プロボックス(商用バン)では後席が狭いと感じたお客様が、フィルダーを選ぶこともあります」と説明した。
このようにカローラシリーズは、ユーザーニーズに応じた綿密な選択肢をそろえて売れ行きを伸ばした。ボディタイプが豊富なのはカローラの伝統で、絶好調に売れた1990年代も、セダン、ワゴン、クーペ、ハッチバックを選べるのが強みだった。
今後はヤリスのプラットフォームを使って、実用的な5ナンバーサイズのセダン&ワゴンを開発することも考えたい。アクシオ&フィールダーは運転のしやすい合理的なセダン&ワゴンだが、発売から8年を経過して、とくに安全面で設計の古さを感じるからだ。