70年前から同じカタチ! ポルシェ911が姿を変えない理由とは? (2/2ページ)

RRと水平対向エンジンの組み合わせで時代を生き抜いてきた

 911がずっと911のままで居ることができたのは、優れたメカニカルパッケージングによって時代を生き抜いてきたからです。

 ご存知の通り911は、356の時代から続くリヤエンジン・リヤドライブレイアウト=RRを基本としています。リヤ荷重の大きさゆえに後輪のトラクション性能を高めやすく、実用的な4座レイアウトも可能になるのが、その美点。基本設計を変えずとも大幅なパワーアップに耐えられたのは、まさに911がRRだったからにほかなりません。

 忘れてはいけないのが、リヤエンジンと、やはり911の特徴である水平対向エンジンはセットだということです。水平対向エンジンは幅は取るものの高さが抑えられるため、低重心化を実現できます。リヤエンジンで操縦性が成立するのは低い重心あってこそ。ですから、リヤエンジンレイアウトと水平対向エンジンは、最初から一体で考えられていたわけです。

 背の低い水平対向エンジンをリヤに積むレイアウトのおかげで911は、ルーフ以降なだらかに低くなっていくリヤデザインを実現できました。当然、エンジンがないのでフロントフードは低くなり、ライトの位置は照射性能や法規に合わせて高めに。つまり太もものようなフロントフェンダーの峰が生まれます。

 極端にいえば911のデザインは、特徴的な中身のハードウェアに薄皮を被せただけと表現できるでしょう。カタチ優先ではなくハードウェア優先。そのハードウェアが高い実力を持ち、独特のドライビングプレジャーも備えるならば変更する必要はなく、つまりカタチも変える理由はありませんよね?

 長く愛されるデザインには、ちゃんと意味がある。最新のタイプ992を見ても、そこに改めて納得させられてしまうのです。


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