オート化で部品点数が増加しても2タイプ作成するより安価
クルマの自動化は年々進んでいる。それは自動運転テクノロジー関連だけではない。空調では設定温度をしておけば、風量などを自動的に制御するオートエアコンはいまや当たり前の装備として、軽自動車でも標準装備されていることは珍しくない。とはいえ、車種によっては廉価グレードに、ダイヤルで温度や風量を調整、レバーで外気導入/内気循環を切り替えるマニュアルエアコンを採用していることもある。
オートエアコンには液晶タイプの操作パネルや温度センサーが必要だ。つまり、マニュアルエアコンのほうがコスト的には有利なのは間違いない。ただし、必ずしもマニュアルエアコンを用意することがローコスト化につながるかといえば、そうとは限らない。
クルマというのはさまざまなグレードがあり、また国内仕様・輸出仕様とバリエーションは豊富だ。そしてバリエーションがたくさんあるということは生産ラインにおいて作り分ける手間がかかるということになる。多少部品を安くするよりも、全車で仕様を統一して共通部品を増やしたほうが生産性という意味ではローコストになる。つまり、最廉価グレードのためだけにマニュアルエアコンのパネルや電装系を用意するくらいであれば、全車オートエアコンで統一したほうがトータルでは安くなるといえるのだ。
ただし、エアコンパネルというのは意外に同一メーカーでは共有していることが多い。車種ごとの設定だけではなく、グローバルな仕様も含めて考えるとマニュアルエアコンとオートエアコンの両方を設定することが生産性において問題ないこともある。そういうケースであれば、マニュアルエアコンは低価格につながる要素として有効だ。