【試乗】衝撃のエンジンにレーシングドライバーも唖然! 速すぎるメルセデスAMG A 45&CLA 45 は量産車の常識を覆した (2/2ページ)

ストレートエンドでは261km/hに到達! そして衝撃の2分切り

 さらにスタートダッシュを決められる「ローンチコントロール」も装備し、その作動はより簡潔化され安定的にアクティベートできるようになった。

 サーキット走行のタイムアタックではドリフト・モードを使わずAMG車の誇るダイナミックセレクトで「レースモード」を選択して走る。そのほうが好タイムを記録できる。ドリフト・モードはジムカーナやドリフト走行を楽しむ為の特別な装備といえるからだ。

 CLA45でコースインするとバランスのいいハンドリングで軽快な回頭性と強力なトラクションがコーナーで発揮された。前後重量配分に優れ剛性の高いサスペンションと電子制御が上手く機能しアジリティ(軽快さ)にも優れる。コカ・コーラコーナーや続く100Rのようなハイスピードコーナーでは安定し4輪がバランスよくスライド。高速コーナーでの車両姿勢はほとんどゼロカウンター状態で維持された。

 8速ツインクラッチDCTのトランスミッションはDレンジに固定しマニュアル操作しない。ツインクラッチのトランスミッションで好タイムを記録するにはプリセレクト機能を作動させず油圧ポンプロスを最小にすることが重要だからだ。Dレンジホールドでも45シリーズのトランスミッションは理想的な変速プログラムが組まれていて不満ない。ブレーキの踏力コントロールに呼応して1速、あるいは2速とシフトダウンを呼び起こすことができ最適なギヤが自動的に選択されるのだ。

 もとよりハイパワースペックのエンジンゆえパワー不足は微塵も感じなく、かといって4輪駆動のトラクションボリュームは無駄なホイールの空転を引き起こさない。コーナー区間での速さは4輪駆動の運動性能にネガティブなイメージを持ち続けている人達に強力なインパクトを与えてくれるだろう。

 最終コーナーを立ち上がり、直線を加速していくと車速の伸びが尋常ではない。ストレートエンドで達した最高速度はメーター読みで261km/h! それはクラスの常識を大幅に超え、高価なスーパーカークラスがようやく達する超高速度域だ。その結果得られた周回ラップタイムは1分58秒9! 市販車のままノーマル標準装着のラジアルタイヤで、1周という限られた周回数にもかかわらず2分の壁をやすやすと打ち砕いたそのパフォーマンスには驚きを感じずにはいられなかった。

 ランエボやインプなら2分4〜5秒が精一杯のタイム。同じ2リッターターボ4WDのゴルフRでも2分4秒台だ。このCLA45をベースにスーパー耐久レース用マシンを仕立てたら、恐らくランエボで打ち立てた記録のすべてを塗り替えることができるだろう。そう感じずにはいられないほどの実力を見せつけられた。

 4ドアハッチバック(HB)ボディのA45S 4MATIC+もパワートレインはCLA45と同じだ。ただタイヤサイズがCLA 45は255/35R19であるのに対しA45は245/35R19とワンサイズ幅の狭いサイズを履く。その分高速コーナーでのグリップ限界は低く、ボディの空力特性の違いもあって直線スピードは伸びない。A45のラップタイムは1分59秒台と若干劣った。その分、ドリフト・モードの有効性やジムカーナでのタイムは有利に働く。

 ちなみにドリフト・モードは後輪2輪駆動になるのではなく、4輪駆動のままヨーレートの立ち上げを強める制御となり、とくにリヤの電子制御デファレンシャルの作動を強める事とブレーキベクタリングで達していた。

 大きな時代の転換期にある今、AMG社が送り出すハイパフォーマンスモデルの数々は内燃機関の集大成として最後の華を華麗に咲かせていると言えるのではないだろうか。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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