数多くのモデルが誕生! トヨタ・グランエースへ続くトヨタが生み出したミニバンの歴史を辿る (2/3ページ)

Lクラスミニバンの大ヒット作がついに誕生

 その後、ワンボックスカー市場は順調に成長し、レジャーユースのクルマとして選ばれるようになる。きわめて豪華な装備を誇るワンボックスも多く登場した。しかし1990年代に入ると、重篤な問題が発生する。

 それは「衝突安全性」だ。たとえ事故になっても、ある程度キャビンのなかの乗員を守らなければならない、ということ。そのためには衝突時の衝撃を適度に吸収する「クラッシャブルゾーン」が不可欠だ。ところがワンボックスカーはどうだろうか。運転席の前方にボンネットはない。つまりワンボックスカーのままではクラッシャブルゾーンの確保は困難だった。

 ということで1990年代、ワンボックスのミニバン化が始まる。ハイエースもその例に漏れず、1995年、グランビアを登場させた。ヨーロッパ仕様のハイエースを日本市場向けにアレンジしたクルマだった。実質的にハイエースの後継モデルと言える。幅1.8m、全高2m近い堂々としたサイズで、フロントには明確なノーズを持つ。兄弟車として、5ナンバーサイズまでサイズダウンしたハイエースレジアスも設定。ミニバン時代の到来だった。

1995年 グランビア(初代)

衝突安全性に対応するためノーズ付き大型ミニバンへ進化

 全幅は1.8m、全高も2mに迫るなど、当時としてはきわめて大型のセミキャブオーバー型ミニバン。当初のラインアップは3Lディーゼルターボと2.7Lのガソリンだったが、1997年に3.4LのV6エンジン搭載モデルが追加された。

1999年 グランドハイエース

 マイナーチェンジを機に新設定。当時のライバル、日産エルグランドを意識してか大型メッキグリルなどで存在感を高めた。

 だがグランビアは大苦戦を強いられる。強力なライバルがいたのだ。

 1997年に登場する日産エルグランドである。メッキなど多用した迫力あるボディスタイル、ディーゼルもあったが主力は3.3L V6エンジン、高品位な室内によって月販1万台を超えるほどの大ヒットとなる。グランビアはマイナーチェンジで対抗するも力及ばず後塵を拝した。

 そこで一念発起。2002年5月、FFミニバン、エスティマをベースに、さらに大きなボディと豪華絢爛な装備を備えるアルファードを登場させた。同時期にエルグランドは2代目モデルが登場。初代と同様のFRミニバンで3.5L V6を搭載していた。勝負はアルファードが圧勝する。アルファードは3L V6に加えて、2.4L直列4気筒モデルも用意していた。この比較的廉価なモデルも大ヒットに貢献。あわてた日産が2004年に2.5Lモデルを加えたほどだった。

 2003年にはアルファードハイブリッドも登場。強敵をねじ伏せたアルファードは、現在に至るまでプレミアム大型ミニバンのベンチマークとして市場に君臨している。

1997年 ハイエースレジアス

5ナンバーサイズに収めたグランビアの弟分

 グランビアの兄弟車だが、こちらは5ナンバーサイズに収まる。グランビア同様2.7Lガソリンと3Lディーゼルターボを搭載。通常モデルに加え、若干スポーティな「ウインドツアラー」も設定する。

1999年 ツーリングハイエース

 マイナーチェンジでレジアス「ウインドツアラー」の兄弟車として新設定。専用のエアロパーツを備えたスポーティモデル。

1997年 トヨタ・ハイメディック

歴代救急車もハイエースがベース

 トヨタの救急車「ハイメディック」は歴代ハイエースがベース。1997年にはグランビアベースにスイッチされた。3.4L V6エンジンを搭載。現在は現行ハイエースをベースにした車両が登場している。

2002年 アルファード(初代)

大型のボディと豪華絢爛な装備で大人気プレミアムミニバンに成長

 FFベースのプレミアム大型ミニバン。3L V6と2.4Lの直4を搭載。大型のメッキグリルに高品位な内外装で大ヒットする。通常モデルに加え専用エアロパーツを装着するグレードも人気を呼んだ。

2003年 アルファードハイブリッド

 中身はエスティマハイブリッドと同様のモデル。後輪をモーターで駆動させる電気式4WDで、10・15モード燃費で17.2㎞/Lを誇る。


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