パッケージやボディは攻めたつくりのクルマも存在!
3)MR-S
MR2の後継といえるのが「MR-S」。1.8リッターエンジンのオープン2シーターだった。スタビリティとコーナリング性能を両立させるためのロングホイールベース設計は、それまでMR2での経験(市場の声)を活かしたもので、走りの面では刺激はマイルドになっていたが、そのパッケージはトヨタ車としては攻めに攻めたものだった。
なにしろ、MR-Sにはトランクがないのだ。シート背面に用意されたリッド付きラゲッジスペースはトランクと呼んで差し支えない程度の積載能力を持っていたが、あのトヨタがトランクのないクルマを量産するというのは、デビュー時にはかなり衝撃的だったのだ。
4)オリジン
2000年に、トヨタが1000台限定でリリースした「オリジン」は、FR系プラットフォームをベースに、初代クラウンをモチーフにしたボディを与えたというスペシャルなモデルだ。そのボディはじつに「攻めた」ものだった。
当時のコンパクトFRセダンである「プログレ」をベースとしながら、観音開きドアを実現したことも攻めた設計だったが、なにより驚かされたのはフロントフェンダーが左右でつながっていること。それは「オリジン」のスタイリングを実現するためには不可欠だったというが、それにしてもチリ合わせなどの生産性を考えると、かなりの手間がかかる手法であり、修理性を考えてもかなり攻めたデザインといえるものだ。
5)C-HR
最後に紹介するのは現行モデルの「C-HR」。ご存じのようにデザインコンシャスなクロスオーバーSUVだが、その後方視界は現代のクルマとしては、さすがにどうかと感じるレベルだ。
これだけ安全性能が重要視される時代に、視界を犠牲にしてでもデザイン最優先のクルマを生み出すことを認めてしまうのだから、トヨタというのはじつは尖ったマインドを持つブランドなのだ。
こうして攻めたつくりのクルマを振り返ってみると、そうしたマインドは突然変異的なものではなく、これまでもトヨタが持ち続けてきたキャラクターなのだと、理解することができるのではないだろうか。