トヨタのビジネスは「街のプラットフォームづくり」へシフト
NTTとの業務資本提携の発表において豊田章男社長は次のように話している。
「人間の体に例えると、クルマや家は『筋肉』『骨』、通信は情報という血液を流す『血管」であり、その中でもNTTは『大動脈』として、毛細血管に至るまでの血液循環を支え、体全体を動かしているのだと思います。言い換えると、NTTは社会システムの根幹を担っているのです」。
そもそもトヨタは自動車会社として生まれたわけではない。そのルーツが自動織機にあることは知られているだろう。特定のハードウェアにこだわるのではなく、『産業報国』の精神により『社会や国を豊かにすることに貢献したい』というのがトヨタのベースにある。そのために移動の自由度を高める自動車産業へと事業モデルのフルモデルチェンジを果たした。
豊田章男社長は次のようにも言っている。
「トヨタにとってWoven Cityとは、モノの見方・考え方を180度変えていくことを意味しております」。
コネクティッド・シティへの挑戦に象徴されるチャレンジはトヨタのビジネスが『街のプラットフォームづくり』へとシフトするという未来を示している。すべての生活がつながる世界、それは移動・サービス・教育・医療……人間が生きていくために必要なすべての社会システムが一体化することを目指しているといえる。
クルマ単体ではなく、社会システムとしてのプラットフォームを構築することがトヨタの根底にある『社会や国を豊かにすることに貢献したい』という思いを実現するのに必要な時代になっているというわけだ。
コネクティッド・シティの実証実験、通信最大手NTTとの業務提携は、トヨタとしてのフルモデルチェンジが近いことを意味している。トヨタのブランドを考えると信頼性の高いモビリティサービスを提供するということは軸になるだろうが、いわゆる自動車メーカーから脱却する日はそう遠くないと考えるのが妥当だ。