コロナで顕著になった日本政府と国民の感覚のズレ! 自動車政策を見ればアジアの各国ヒドかった (2/2ページ)

タイでは生活環境の違いが公共交通機関の発展にも影響

 次はところ変わってタイのお話。首都バンコク市内の移動手段として日本人観光客でもお馴染みなのが、BTSと呼ばれる高架鉄道とMRTと呼ばれる地下鉄。日本では、たとえば東京では交通系ICカードのSUICA(スイカ)1枚を持って入れば、東京メトロや都営地下鉄、都営をはじめ各事業者が運行する路線バスなどで、幅広く運賃の支払いができるが、バンコクではそれぞれ専用のICカードが用意されており、東京などのように相互利用することができない。

 そのなかで、筆者が確認した限りでは、間もなく(ひょっとしたらすでに運用開始となっているかもしれないが)BTSやMRTだけでなく、路線バスなど幅広く使うことができるICカードの運用がようやくスタートするとのことである。

 また、バンコク中央駅を建て替えるのではなく、まったく新しい場所に新バンコク中央駅を建設しているのだが(2021年開業予定)、そこから歩くには少々距離のある場所に高速バスターミナルがある。前出の事情通いわく「日本人の発想ならば、ICカードを事業者の枠を越えて使えるようにして、利便性を高めるとか、駅とバスターミナルを徒歩圏内に近づけて利便性を高めるでしょう。新バンコク中央駅近くの高速バスターミナル付近にも十分な土地があるのですが、そもそも近づけようという発想がないようです」。

「ここバンコクではたとえば最寄り駅からショッピングモールまで微妙に離れていて不便などというケースは数多くあります。バイクタクシーなど、新たなビジネスが発生するので良いのではないかとの話もありますが、タイのエリート官僚は上流家庭で育ったひとが多いので、子どものころからすべてクルマで移動しています。ですので駅とバスターミナルを徒歩移動できるように建設すると便利になるなど、公共交通機関の利便性の向上などは考えもつかないようなのです」と語ってくれた。

 政治家やお役人などと一般大衆の感覚にずれがあるのは、何も日本に限った話ではない。ASEANやインドなど、アジア地域は日本よりはるかに露骨な格差社会となっていることもあり、状況は日本を超えたレベルのように見える。日本も格差社会は広がる一方となっているので、今後さらに一般大衆感覚は政治家やお役人には届かなくなっていくのではなかろうか。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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愛車
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趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
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