値引きに積極的と見せるためわざと納車費用を計上することも
納車費用は、いまでも存在する諸費用となる。これは、購入した新車をセールスマンが購入者の自宅や勤務先などの指定先に持っていき、新車を納める手数料となる。大昔には、新車はお客の指定先へ持ち込んで納めるのが当たり前であった。
一般的にはセールスマンが自ら運転し、自走して持ち込むことになるが、輸入車ではキャリアカーに載せていくこともあるとのこと。“大安納車”は当たり前で、タイヤの四隅に塩を盛り、かなり“儀式的”な納車を行うお客もいれば、自宅へ来るときの方位や道順にこだわるお客などもいて、風変りな納車も多かったようだ。また一部のお客はセールスマンへの心づけ(チップ)を用意しているケースもあったりしたようだ。
しかし、いまは店頭での納車が当たり前となっている。その理由としては販売現場の人手不足がある。いまでこそ数は減ったが、土曜や日曜が大安ならばその日の納車台数はかなり多くなる。セールスマンの数が少ないなか、せっかく多く受注が期待できる週末に納車でセールスマンが出払っていては商売にならないというのが大きいようだ。ごくまれだが、納車へ向かう途中に事故を起こしたり、希望先へ新車を持って行ったら車体に傷がついていて、納車途中に傷がついたのではないかとしてトラブルになるなどのリスクを避ける意味もあるようだ。
もちろん納車費用というものを払えば、いまでも希望先まで新車を持ってきてくれるが、店頭納車が原則で納車費用が発生しないことになっているなかでも、見積書に納車費用を計上してくるディーラーがある。この場合には、値引き交渉の際に「それでは、店頭での納車ということで、納車費用をカットしましょう」とセールスマンがいうことで、値引きアップに積極的であるということをアピールしようとしているのである。そのため、初回見積りから納車費用を計上しないで、「この店では店頭納車が原則なので納車費用は計上しません」とする店舗のほうが良心的と考えていいだろう。