バスの「オタシート」は争奪戦が起きるほど人気!
バス、そのなかでも都市内路線バスをこよなく愛する“バスオタ(バス愛好家)”。彼らにとって路線バス車内でのベストシートといえば、乗降トビラがある側の一番前の席となる通称“オタシート”だ。
かくいう筆者も“乗りバス系”のライトなバスオタであり、日々オタシートに座るようにしていた。フロントガラス越しに見える進行方向の風景や、運転士が運転しているようすをチラチラ見ながらバスに乗っている間はまさに至福の時間である。
一方で運転士にとっては、座っている乗客がバスオタのひとではなくても、監視されているような気持ちとなるそうだ。さらに、最近は座っている間ずっと運転している姿を動画撮影しているひとがいるとも運転士から聞いたことがある。また、この席での車内事故も結構目立つとのことである。
バスオタのみなさんは、始発のバス停から乗るときはまずオタシートゲットを狙うのがお約束だといわれている。筆者も始発バス停で発車待ちしているバスのオタシートにすでにひとが座っていたら、一本バスを遅らせてでもオタシートに座るのを流儀としている。
ただ現行いすゞエルガ&日野ブルーリボンでは、原則オタシートの場所に燃料タンクがあり、オタシートが用意されておらず、現行エルガ&ブルーリボンのデビュー当初は、筆者はどこに座っていいかわからなくなり、当該路線バス車内でしばらく“難民化”していた。いまは、中とびらのとびら側すぐ後ろを“新オタシート”と決めて座っている。しかし最新型では、ドライバー異常時対応システム(EDSS)が採用された関係で、運転士の健康状態をお客が見られるようにするために、運転席背後が透明なクリアボードとなったので(一部事業者はクリアではないが)、事業者によっては運転士真後ろの席を、さらに“最新オタシート”として座って楽しんでいる。
また旧型車や三菱ふそう、海外ブランドのバス(ボルグレン架装のスカニア)などではオタシートがほぼ用意されているのが、まだ救いとなっている。
しかし、新型コロナウイルスの国内での感染状況が深刻化。すでに発出していた7都府県に加えて、日本全国に緊急事態宣言が発出された夜に、都内で路線バスに乗ろうとあるバス停でバスを待っていると、オタシートにひとが座っていない、乗車予定のバスがやってきたのでオタシートに座ろうとしたら、ロープが張られて座れないようになっていた。運転席真後ろの席も同様の措置がとられていた。