テストコースで感じた印象は公道でも変わらず
これは良さそう。そんな確信を持って、いよいよ高速道路へ。大勢を乗せて遠くに行く機会が多いに違いないミニバンにとっては大事な一方、じつは背が高いミニバンにとっては苦手なシチュエーションでもある。つまり、ここではタイヤの実力を判断しやすいと言っていいだろう。
ここで得た最初の印象は「快適だな」というものだった。快適という言葉はさまざまな解釈ができるが、プライマシー4ではとくに、車重があり重心も高いはずなのに、身体が前後左右に振られる感じがなく、ぴたっと真っ直ぐ走ってくれることに感心させられた。その高い安心感は、間違いなく快適性という言葉と結び付けられるポイントだ。
舗装の継ぎ目を通過する際などのショックも最小限に抑えられている。単に柔らかいというよりは、入力を一発でスッと受け止めて、ブルッという振動が残らないという感じである。それに加えてタイヤ起因のノイズがよく抑えられていて、室内はつねに静粛性が保たれるのも好印象。前作に対してパターンノイズ6%減という数値が納得できる。おかげで、ずっと長く走っていても疲れが少ないだろうなと容易に想像できた。
車線変更の際の印象は、テストコースでのものと変わらない。スッと切ると自然に隣の車線に導かれ、自然にピタッと真っ直ぐに戻るのが小気味よく、しかもそれは間違いなく、助手席や後席の乗員の快適さにも繋がっているはずだ。
続いては一般道へ。ここでしばらく走るうちに感じたのは、高速道路でのしっかり感に対して、しなやかさと表現したくなる手応えだった。舗装が荒れたところを通過する際にも、ガタガタと揺すられるのではなく路面の凹凸を舐めるようにいなしてくれる。そんな感触である。
セダンなどに較べて高い位置に座ることになるミニバンだけに、こうして揺すられたときの乗員の頭や身体の動きはどうしても大きめになる。大人はまだしも、お子さんやペットを連れているときにはきっと気が気ではないだろう。プライマシー4は、そうした動きのカドをうまく丸めてくれているという印象。乗員が不快感を覚えることはないだろうし、ステアリングを握っている側としても、クルマが真っすぐ走ってくれる安心感を得られるというわけである。
最初に乗って「快適だな」と感じたのは、つまりこうした全方位の高い性能が、あらゆる意味でのストレスのない走りに繋がっているからだろう。それはドライバーにとって嬉しいだけでなく、ミニバンであれば尚のこと重要な、乗員全員の快適性、安心感に繋がっている。
最後に燃費について触れておこう。プライマシー4は16サイズが転がり抵抗等級最上級の「AA」を、25サイズが「A」を獲得している。高いウエットグリップとの両立という非常に難しい仕事を、ミシュランの技術者はやってのけた。今回、燃費計測は行っていないが、今回感じたようなパフォーマンスと低燃費が両立できていれば、相当心強いタイヤだと評することができるだろう。
冒頭に書いたように、ミシュランはあえてミニバン専用と銘打ったタイヤは用意していないが、しかし今回試したプライマシー4は、ヴェルファイアとの組み合わせでも、まさにプレミアムコンフォートタイヤというコピーに相応しい乗り味を堪能させてくれた。まさに今回は、トータルパフォーマンスという言葉を実感させられる試乗となったのだ。