ステアリング操作の確かな手応えとしっかりとした制動力を体感
多くのタイヤメーカーと違って、意外にもミシュランはミニバン専用タイヤを用意していない。気になって理由を訊いてみると「私たちが掲げているメッセージは“ミシュラン トータルパフォーマンス”。どんなクルマに履いても高い性能を発揮できるタイヤを提供しているんです」という明快な答が返ってきた。
ナルホド、それなら実際に試してみようと考えたのが、今回の企画のきっかけである。用意したのはミシュランのプレミアムコンフォートタイヤであるミシュラン プライマシー4。これを日本のプレミアムミニバンを代表する存在であるトヨタ ヴェルファイアに装着して、テストコースと一般道でじっくり試してみることにしたのだ。
まず一般道に出る前に、テストコースで実力をチェックしてみた。最初に臨んだのは80km/hからのレーンチェンジである。
イメージしたのは、緊急回避ほどではないけれど、普段の車線変更よりはやや速めの操舵。ここでは、ステアリングを切り込んだ瞬間から正確な応答性が得られ、また直進に戻る際も揺り返しなく一発で収束することが確認できた。
背の高さ、体躯の大きさを考えれば、これはお見事。実際の挙動、伝わるフィーリングともに安心感がとても高い。後席も身体が必要以上に振られることがないということだったから、ドライバーだけじゃなく乗員全員が安心していられると言えそうだ。
ウエット路面でのフルブレーキングも試した。加速して80km/hをキープ。所定の位置からブレーキペダルに思い切り力を込めると、ヴェルファイアはやや前のめりになりながら一気に速度を落とした。これだけの制動力があれば文句がないのはもちろん、ペダルにしっかりと制動感が伝わってきて、いかにも止まってくれそうとわかるのが大いに感心させられたところ。これも、やはり大きな安心感に繋がっていると言えるだろう。
実際、前作プライマシー3と較べるとウエットの制動力は履き始めの段階で約4.5%向上しているのだという。また、特筆すべきはある程度使ったあとの状態でのブレーキング性能で、残り溝2mmという摩耗した状態で同じテストを行うと、プライマシー3より約13.3%も高い数値を記録したそうだ。摩耗時の溝体積、約22%アップを実現した新しい溝形状と、新配合コンパウンドがそのおもな要因。単に止まるだけでなく、摩耗による性能低下も少ないというわけである。