そういえばあった……なんて言うべからず! 1代限りで消えるも入魂作だった悲運の軽スペシャリティカー3台 (2/2ページ)

今見ても古くささを感じないデザインや全体的な質感の高い軽も!

2)三菱i(アイ)

 エンジンをややリヤ寄りのミッドシップレイアウトで搭載し、デザイン性や安全性、走行性能など、従来の軽自動車とは大きく異なる世界を表現。未来からきたマイクロカーという雰囲気で、クリアな感触のステアリングや、車体の中心部分を軸に旋回する感覚、無駄な前後荷重移動の少なさなど、ミッドシップレイアウトらしい物理的な気持ちよさが常時味わえた。

 筆者は当時のエンジニアから「この新しいリヤミッドシップのプラットフォームをベースに、小型MRスポーツカーやSUVなどの派生車種を展開する」という将来のプランを聞くと、これからの軽自動車市場はアイが基準となって、大革新時代が訪れると確信。

 しかし、軽自動車の市場は台頭する超ハイトワゴンと、軽のスタンダードとしての地位を盤石としたハイトワゴン人気が盛り上がるばかりで、街でアイの姿が激増することはなかった。それでもアイは約10年間も売り続けられ、電気自動車版の「i MiEV」は現在も販売中。デザインは今見ても古くささを感じさせず、すべてが惜しまれる存在だと思う。

3)スバルR1

 かの名車スバル360の精神的な後継車として誕生しただけあって、開発時の入魂ぶりが凄まじい。アルファロメオなどで活躍したデザイナー、A.ザパティナス氏の指揮によるスバル360をモチーフとしたスタイリングは、軽自動車の主流であるハイトワゴンとは真逆の方向性といえる低くて流麗な美しさを追求。内装表皮にはアルカンターラ、インシュレーターや遮音材、制振材も惜しみなく増量。ドアシールを2重化したり液封エンジンマウントを採用したり、軽としてはおよそありえないモノばかりで構成された。

 テールゲートは樹脂製とするなど、旧世代のプレオより80kgも軽く仕上げながらボディは堅牢感に溢れ、15インチのポテンザを余裕で履きこなす。大きめのギャップを乗り越えた瞬間の足さばきや、鋭敏な操舵フィールとリヤサスの安定性の両立レベルの高さは、今乗っても秀逸。

 ハイトワゴン人気の前に5年間で1万5000台ほどしか売れなかったが、それもむしろ誇らしい。流行を後追いせず「自分たちが作りたいモノ」として生まれたスバルオリジナルの軽自動車として、これからも愛され続けるだろう。


マリオ高野 MARIO TAKANO

SUBARU BRZ GT300公式応援団長(2013年~)

愛車
初代インプレッサWRX(新車から28年目)/先代インプレッサG4 1.6i 5速MT(新車から8年目)/新型BRZ Rグレード 6速MT
趣味
茶道(裏千家)、熱帯魚飼育(キャリア40年)、筋トレ(デッドリフトMAX200kg)
好きな有名人
長渕 剛 、清原和博

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