タクシー専用車としての性能や完成度は非常に高いが……
3)前方の見切りがイマイチ
今どき珍しい5ナンバーサイズで、四角いボディ形状なので車両の大きさが掴みやすく、狭い場所で運転がしやすいという。ただし、室内空間に余裕をもたせるために、車高を高くしていて、縦方向にスペースを稼いでいる。そのため、ボンネットが分厚くて、前方の見切りが悪いという声はよく聞く。座高が低いドライバーに多いようだ。もちろん致命的なレベルではないのだが。
4)やっぱり車いすの収納は大変
バリアフリーもテーマのひとつとして開発されているので、さまざまな人に対しての優しさを掲げていた。車いすの積載もそのひとつだが、非常に手間がかかることが話題になった。10分ぐらいを想定していたのが、15分から20分ぐらいかかるというもの。トヨタもその声を受けて、改良をしたり、使い方研修を行ってはいる。
実際に聞くと、よくはなっているけど、大変なことには変わらないという声が多い。もちろん乗せたくないとは思わないけど、タクシードライバーの収入は、要は歩合なので、時間がかかるのは収入にもかかわるために、つらいようだ。
5)価格が高い
JPNタクシーの多くが事業者による導入のため、ドライバーには直接関係ないが、何人かが教えてくれたポイント。発売時からオリンピックに向けて、次世代タクシーやUDタクシーの普及を名目に補助金を用意。地域や行政によるが、国と合わせると120万円ぐらいになることが多い。ちなみにUDタクシーのUDとは、元日産ディーゼルのUDトラックスのことではなくて、ユニバーサルデザインのこと。高齢者や障害者にも優しいデザインを指し、最近お役所関係でしきりに聞かれるワードである。
補助金はもちろん予算が決まっていて、打ち切りになっているのだが、JPNタクシーはそもそも価格が高い。車両本体価格で333万8500円と356万4000円。特別用途で大量に売れるわけではないので仕方がないが、補助金があれば200万円ちょっとで買えたのもまた事実。300万円超えというのは現在のタクシー業界を考えると補助金ナシは痛い。
今後の普及は鈍化する可能性も大いにあるが、「どうせ300万円ちょっと出すなら、同じような価格で買えるカムリをタクシーに使うという動きが出てきているよ。高級車だということでお客さんも喜ぶし」という声は実際に複数のドライバーから聞けた。
以上、細かいところでのリアルな不満点を整理してみた。もちろんタクシー専用車として、とても完成度は高いのは前提としてある。今後の改良などでさらにその性能に磨きをかけるかなど、注目だ。