ビッグサイトなどの施設活用をシミュレーションしている
続いては、同じくアメリカ・ミシガン州デトロイト市内ダウンタウンにあるTCFセンター(旧コボセンター)。ここはいままでは毎年1月に北米国際オートショー(通称デトロイトショー)が開催されている場所で、いまは感染患者収容施設となっている。
デトロイトショーは本来なら今年から6月開催とし、単なるトレードショーの枠を飛び越え、TFCセンターだけでなくデトロイトのダウンタウン地区全体で展開する、いわばお祭り色の強いショーに生まれ変わる予定であったが、今年の開催は中止となり、公式ウェブサイトでは2021年の開催スケジュールが掲載されている。
最後は中国北京市郊外にある、中国国際エキシビジョンセンター(新館)。ここは、偶数年の4月にオートチャイナ(北京国際汽車展覧会/通称北京ショー)が開催されている。北京首都空港に近いこともあり、海外から帰国した中国人や訪中した外国人の一時隔離施設として使われているようである。対象者が空港からバスで直接ここにきていた映像がニュースで流れていた。北京ショーは開催延期となっていたが、9月下旬に開催することがアナウンスされている。
日本では、東京モーターショーの会場となる東京ビッグサイトはいまのところコロナウイルス関連のための施設利用はされていないので、そのあたりを事情通に聞くと「まず日本はアメリカほど感染状況がまだ深刻化していないといえるでしょう。中国はたまたま空港に近いというのもあって使われているものと考えられます。ただ、日本でも今後の感染拡大状況次第に備えて、ビッグサイトなどのコンベンション施設の活用をシミュレーションしているという話もチラホラ聞こえてきます」とのこと。
この事情通は「日本と違い、諸外国では今回の問題を“戦争”という感覚で捉えて対処しています。日本において平常時ならさまざまなイベントが開催されているコンベンションセンターが、“野戦病院”さながらの施設として使われるとなると、異論を唱える声は大きく、メディアもそれを大きく扱うことでしょう。そのあたりの、下手をすれば切迫感がないと見られてしまう日本人の感覚は、世界から見れば、かなり特殊に見えるでしょうね」と語ってくれた。
とにかく、新型コロナウイルスが一刻も早く世界的に収束に向かい、再び華やかなオートショーが再び開催されることを願うばかりである。