20世紀はステーションワゴンがブームとなっていた
1990年代、日本はステーションワゴン・ブームだった。それまでワゴンといえば、商用車(ライトバン)をベースに、乗用仕立てにしたというイメージで、大きな荷物を積む必要がある人だけが選ぶニッチカテゴリーだった。
しかし、SUBARUレガシィツーリングワゴンが乗用専用モデルとしてステーションワゴン市場の価値をアピール。各社も追随することで魅力的なモデルが群雄割拠状態となり市場は大きく成長した。少し思い出すだけでも、トヨタ・セプターやカムリグラシア、日産のアベニールやステージア、ホンダのアコードワゴンなどなど多くの人気モデルが登場した。
しかし、あるときを境にステーションワゴンのトレンドは終息、代わってクロスオーバーSUVがレジャービークルの主役となっていった。それは何故だったのだろうか。
そもそもステーションワゴンはセダン系モデルをベースとした走りのよさが魅力で、重心が高く、シュアなハンドリングの期待できないクロカン4WDや1BOXに対するアドバンテージがあり、そこが評価されていた。
しかし、1990年代になって乗用車系プラットフォームをベースにしたクロスオーバーSUVが出てきた。当初は、ライトクロカンと呼ばれていたようにクロカン4WDの廉価版といった位置付けだったが、そもそも乗用車系プラットフォームを利用していることから、日常的な舗装路での走りについてはメリットがあると感じていたユーザーも多かったと記憶している。また、モノコックボディを採用したことで軽量化につながり、クロカン4WDに対して燃費面でのアドバンテージは確実にあった。
それでも1990年代はステーションワゴンの時代だった。各社はステーションワゴンにターボエンジンや大排気量エンジンを与え、パフォーマンスを磨いていた。走りと積載性を両立するステーションワゴンに、ライトクロカンと呼ばれたクロスオーバーSUVでは太刀打ちできないようにも思えた。