いま話題のクルマのオールシーズンタイヤ! もともとあった「M+S」タイヤとは何が違うのか (2/2ページ)

かつてはSUVのためのものだったがいまは幅広いジャンルに対応!

 タイヤのサイドに「M+S(マッド+スノー)」の表記があるタイヤでおもにSUV系車両に標準装着されているケースが多い。M(マッド)は「未舗装の悪路」を示し、S(スノー)は文字どおり雪道を意味する。北米の多くの地域では乗用車も含めて、新車標準装着タイヤとして「M+S」タイヤ装着を義務付けている。広大な大地を誇る北米では、舗装路ばかりでなく未舗装路が多く存在するし、南北の緯度も大きく冬には降雪する地域もあるためM+Sタイヤでないと安心して大陸移動ができないのだ。

 国内でもM+Sタイヤを標準装着するSUV型車両は増えていて、通年使用ができるので首都圏ユーザーにはありがたい。ちなみにM+Sの刻印があれば高速道路などの「冬用タイヤ(滑り止め装置装着)規制」下でも走行できる。

 従来はこのM+Sタイヤをオールシーズンタイヤと呼んでいたのだが、その利便性の高さから普通セダンやコンパクトカー、スポーツセダンなどより乗用タイプの車両にも適したタイヤを求める声が高まっていた。セダンタイプの車両に装着するにはハンドリングなど乾燥舗装路での操縦性や高速安定性、静粛性、転がり抵抗改善などが求められ、また低ミュー路面での発進性を確保しなければならない。それらを実現するには高度なタイヤ設計技術が必要で、近年それが可能になってきているといえるのだ。

 最新のオールシーズンタイヤにはM+Sの刻印表記に加え「スノーフレークマーク」の刻印が追加されている。スノーフレークマークは欧州で冬用タイヤとして認証されたタイヤであることを示す標だ。その刻印の形状から正式名称は「スリーピースマウンテン・スノーフレークマーク(3PMSF)」と呼ばれている。M+Sが低速での雪道走行性、発進性能を重視しているとすれば、オールシーズンはよりハイスピードでの雪道走行性能を可能とし、オンドーロでの使い勝手も向上しているといえる。ただスノーフレークマーク仕様でも高速道路などでの「チェーン規制」には適合しない。M+Sタイヤ同様「冬用タイヤ規制」のみ通行可能となる。

 セダンやスポーティモデル、クロスオーバー系スポーツSUVなどに装着するならオールシーズンタイヤのニューモデルが市街地ユーザーにはおすすめだが、クロスカントリー系SUV車オーナーには従来のM+Sモデルがよりマッチするだろう。

 ただいずれにしても雪道での走破性は雪道専用タイヤに対して大幅に劣る。


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
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海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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