T型フォードは右ブレーキを採用していた
というわけで、左側にアクセルを配置する必然性はないわけだが、歴史をさかのぼると右ブレーキのクルマというのは存在した。しかも非常にメジャーなモデルが右ブレーキだった。それはフォード・モデルT、累計1500万台も生産されたT型フォードだ。
T型フォードのトランスミッションは2速セミオートマで、アクセルはコラムから生えたレバーで操作する方式となっている。足もとには3つのペダルが並び、右からブレーキ・リバース・変速となる。つまり右手でアクセル、右足でブレーキ、左足で変速をコントロールするのだ。これはアシスト機構などがない当時の機械レベルからすると合理的だったのだろう。そしてT型フォードの販売台数を考えると20世紀初頭のスタンダードな操作方法は、右手でアクセル、右足でブレーキというものだったのだ。
このことが示すようにペダル配置など操作系は時代によって変わっていく。自動運転テクノロジーは日々進化しているが、クルマの操作系がジョイスティックになる可能性は各社のコンセプトカーが示しているのはご存じのとおり。自動運転時には操作系を格納するといったアイデアもある。
自動運転テクノロジーが量産車に採用される時代になったとき、現在のペダルレイアウトがまったく変わってしまう可能性は否定できない。