ハスラーの登場でクロスオーバーテイスト採用モデルが増加する
Keiは大ヒットではなかったが、軽クロスオーバーにスズキは手応えを感じていた。そこで後継モデルの開発に着手。Keiの後継モデルを熱心に後押ししたのは、カリスマ経営者、鈴木 修会長自身だったという。
そしてKei消滅から4年後の2013年、東京モーターショーに「ハスラー」を出展する。かつてハスラーはオフロードバイクの車名だったが、軽自動車として復活した。
最低地上高は2WDで180mm(4WDは175mm)と高く、SUVの要素を採り入れたクロスオーバーモデルだった。Keiの反省からか、内外装に思い切り遊び心を盛り込み、メッキを周囲にあしらった丸目ヘッドライト、黒のバンパーにシルバーのバンパーガーニッシュなど、それまでの軽自動車にはなかったユニークさにあふれていた。ワゴンRをベースとし、室内の広さや使い勝手も軽ワゴン並みだった。イメージキャラクターに「Dr.スランプ」を起用。ハスラーは、その舞台である「ペンギン村」にいかにも似合うスタイルで、軽にありがちな貧乏臭さは皆無だった。
ハスラーは大ヒットとなり、ワゴンRやスペーシアと並び、スズキの軽自動車のエース格へと成長する。軽自動車の世界にクロスオーバーの概念を定着させることに成功した。
ハスラー成功の後、イグニスやクロスビーなどスズキならではの魅力的で個性的なクロスオーバーモデルを続々と登場させている。コンパクトなクルマ専門のスズキだが、その数は国産メーカー随一と言える。
また、スズキで特筆したいことのひとつに、こまめな改良が挙げられる。たとえば初代ハスラーは、当初エネルギーを回生する「エネチャージ」だったが2015年に「S-エネチャージ」に進化。JC08モード燃費は29.2km/Lから32km/Lへと向上した。また登場時の自動ブレーキは「レーダーブレーキサポート」と、今となっては性能的にもの足りないモノだった。だがこれも2015年に最新モデルに遜色ない「デュアルカメラブレーキサポート」に進化。新型車に採用した技術を惜しみなく既存車に投入することで、つねに高い商品力を維持する。ユーザーフレンドリーな自動車メーカーと言えるだろう。
軽クーペSUVという提案
2013年 ハスラークーペ
初代ハスラーは2013年の東京モーターショーに初出展されたが、同時に出展されたのがこのモデル。現在流行中のクーペのようなSUVを軽自動車で提案した。未発売に終わったが、将来、再提案される可能性もある。
2014年 ハスラー(初代)
軽クロスオーバー旋風を巻き起こす!
Keiの実質的後継モデルとなり、FFで180mm、4WDで175mmという高めの最低地上高を採用。遊び心を満載したスタイルもあり大ヒット。軽クロスオーバーというジャンルを確立した。
2015年 SX4 S-クロス(2代目)
ヨーロピアンテイストのクロスオーバー
初代SX4よりひとまわり大きくなり、大径タイヤを採用することでクロスオーバーSUVに変貌。4モード選べる先進の電子制御式4WD「オールグリップ」を採用し、高い悪路走破性を誇る。
2015年 エスクード(4代目)
大きく方向転換し都会派SUVへと進化
3代目までは頑強なラダーフレーム構造だったが、4代目ではモノコックボディを採用、都会的なSUVに一変した。当初は1.6L NAエンジンだったが、現在は1.4Lターボを搭載し、4WDのみを設定する。
2016年 イグニス(初代)
極めてコンパクトでスタイリッシュなハイブリッドクロスオーバー
軽自動車以外では最小クラスの全長3.7mながら、クロスオーバー仕立ての個性派。オーバーフェンダーなどで小粒ながら存在感を主張する。1.2Lハイブリッドのみを搭載し、FFと4WDを用意。
インドでも大人気のスズキ製SUV
2016年 ビターラ・ブレッツァ
インドではシェアが約50%と圧倒的な強さを誇るスズキ。「マルチ・スズキ・インディア」や「スズキ・モーター・グジャラート社」という子会社もある。そんなインドで2016年に登場したのがこのSUV。発売から4年でなんと50万台を突破し、ベストセラーとなっている。
2017年 クロスビー(初代)
使い方自由自在の小型クロスオーバーワゴン
ハスラーと同じデザインモチーフのコンパクト・クロスオーバー。1Lターボを搭載し、モーターアシスト付きのマイルドハイブリッドを採用する。広い室内を達成し、ワゴンのように使い勝手の高さが自慢。
2018年 スペーシアギア(初代)
SUVテイストを軽ハイトワゴンにも
2017年末に登場した軽ハイトワゴンの2代目スペーシアをベースに、クロスオーバー風味のアレンジを加え1年後に登場。タイヤサイズや最低地上高は通常のスペーシアと同じ。