世界的に石油の需要は減少し続けている
資源エネルギー庁が4月8日に発表した6日時点のレギュラーガソリンの店頭価格(全国平均)は1リットル133.7円。これは前週に比べ2.6円安く、なんと11週連続の下落となった。
原因はもちろん、新型コロナウイルスの感染拡大による経済の急減速だ。世界的に石油の需要は減少し続けていて、原油価格は下がる一方となっている。
これを受け、4月13日に石油輸出国機構(OPEC)と「OPECプラス」(ロシアなど非加盟産油国で構成)は、日量970万バレルという協調減産で合意した。これまでは日量200万~300万バレルの生産調整でも話がまとまらなかったことを考えると、かなり異例なことだ。
今回はアメリカも減産に加わり、世界全体の生産量の15%という過去最大の減産幅となった。しかし、それでも供給過剰にブレーキをかけるのは容易ではなさそうである。新型コロナウイルスの感染は南極大陸以外のすべての大陸で拡大し続けていて、収束する見通しは立っていないし、まだピークすら迎えていない可能性もある。
そうしたなか世界の原油貯蔵能力はすでに限界に近づいていて、これ以上在庫することは難しいといわれているし、世界各国での外出禁止や工場などの稼働休止、休業要請が続いているうちは、石油の需要が増えるとは思えない。
さらに4月20日には、米ニューヨーク商業取引所において、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の枯渇により、原油価格が史上初めてマイナス、つまり、生産者が買い手に代金を払って引き取ってもらう異常な状態となっている。
そうした状況から判断すると、おそらく来週以降もガソリン価格は値下がりし続けるだろうし、少なくとも1~2カ月ぐらいのスパンで、値上がりに転じる可能性はかなり低いといえるだろう。他の経済同様、すべてはコロナ禍の拡大・収束にかかっている。