スポーティ指向や上質感が新型ハリアーの個性になっている
そこに従来型ハリアーが登場したから待望の新型車となり、2014年には1カ月平均で5410台を登録。ノアと同等の好調な売れ行きであった。高人気の背景にはハリアーの個性があった。初代と2代目ハリアーは、レクサスRXの日本仕様だったが、3代目は異なる。RXの国内販売が開始されたのを受けて、国内のニーズを強く意識したRXとは異なる上級SUVとして発展させた。
たとえばフロントグリルには、半透明のレンズを装着して洗練された雰囲気に仕上げている。インパネなどの内装には合成皮革が使われ、ステッチ(縫い目)も備わり上質に仕上げた。居住空間は前後席ともに広く、大人4名が快適に乗車できる。荷室容量も十分に確保されて荷物も積みやすい。
この上質感と広い室内は、楽しさと実用性を両立させたSUVの特徴にもピタリと合致する。共感するユーザーも多く、まず子育てを終えた中年層のクルマ好きが注目した。若いころはスポーティクーペなどに乗り、子育て中はミニバンを使う。その後は再びクーペやセダンに戻ることも考えたが、ミニバンの高い天井に慣れるとクーペやセダンでは窮屈に感じてしまう。ユーザー自身の年齢も高まっているから、もはやクーペではないだろう。そこでSUVに目が向く。スポーティなマツダCX-5もあるが、フォーマルな雰囲気が好みならハリアーを選ぶ。
ハリアーを販売するトヨペット店に尋ねると「さまざまなお客様がハリアーに乗り替えている。トヨペット店が扱うマークXやアルファード、トヨタ店のクラウンからの乗り替えもある。さらにフォルクスワーゲン・ゴルフのような輸入車のお客様もハリアーを目当てに来店される」という。
SUVはもともと悪路走破力の優れたオフロード4WDとしてスタートしたから、シティ派になった今でも、CX-5、スバル・フォレスター、トヨタC-HRなどスポーティ指向が強い。その点でハリアーには、トヨタの上級車種らしいクラウンやアルファードに通じる洗練された上質感がある。多くのユーザーがそこに魅力を感じて息の長い人気車になった。
この個性は、今ではハリアーにとって大切な財産であり伝統だ。エンジンやプラットフォームを刷新させる新型ハリアーも、内外装のデザインや車両に漂う雰囲気は、従来型を踏襲している。