シートや先進安全運転支援機能も疲れにくさに影響する
ちなみに、比較的体重が軽いドライバーは、座面や背もたれの張りが強いレザーシートより、ふんわり座れるファブリックシートのほうが疲れにくかったりする。一例を挙げると、ボルボがそうで、体重65kg、身長172cmの筆者だと、どうにもファブリックシートのほうがしっくりと座れ、疲れない。
ボルボの話が出てきたところで、長距離、長時間ドライブで疲れにくいクルマの装備のひとつとして紹介できるのが、世界的に採用例の少ない前両席シートマッサージ機能だ。ボルボのV60、XC60以上の上級グレードに標準装備されているのだが、運転中に背中がほぐれ、クルマから降りたくなくなるほどリフレッシュできる。ボルボで遠出する際は、マッサージ機能ONでドライブしていると目的地到着後、帰路の到着後も、ほぼ疲れ知らずでいられた経験があるほどだ(ボルボの場合、世界最先端の先進安全運転支援機能の充実度による安心感、快適感もその理由)。
長距離・長時間の高速走行でのドライバーの疲労度低減につながる先進安全運転支援機能と言えば、ACC(アダプティブクルーズコントロール)がその筆頭だ。空いた高速道路ではペダル操作から解放されるため、右足の負担は最小限になる。また、前車との一定の距離を保つ追従走行によるリラックス感、安心感も運転にかかわる疲労度低減に直結。
さらに、ACC最大の威力を発揮する場面が高速道路の渋滞時。全車速域対応のACC(電子パーキングブレーキ必須)であれば、渋滞も苦にならなくなるはずで、これまた渋滞疲れの低減に貢献してくれるのだ。自動運転技術に近いレーンキープ機能やブラインドスポットモニターも付いていると、さらに安心・安全のドライブが可能になり、結果的に疲れにくくなる。
話を整理すると、長距離、長時間ドライブでの疲れにくさは、ある程度のボディサイズとエンジン性能が必要で、フラットで姿勢変化、視線移動の少ない乗り心地、車内の静かさ、シートの相性、そしてACCを含む先進安全運転支援機能の充実度が決め手となるとボクは考えている。
付け加えれば、車高というかドライバーの目線の高さは、ミニバンやSUVのようにある程度高いほうが、高速走行でのリラックス度は高い……と思っている。低すぎる目線だと、隣を走るトラックなどの圧力がより大きく感じられるからで、それが緊張によるストレスになりやすいということだ。
もっとも、小さく小排気量のクルマでも例外はある。新型スズキ・ハスラーなどがそうで、ターボモデルなら軽自動車最上級どころじゃないフラット感極まる上質で快適無比な乗り心地、先代を大きく上まわる軽自動車最上級の安定感の高さ、車内の静かさ、クロスオーバーモデルならではの視線の高さ、そしてターボエンジンのトルキーな動力性能のゆとりをもつ。
またACCの装備によって、たとえば東京~軽井沢の高速道路、上信越道・碓井軽井沢ICからプリンス通りに至る山道を足早に走破、往復した経験があるのだが、ふんわりお尻が沈み込む、抜群のかけ心地を持つ前席シートとの相性の良さも相まって、まったく疲れなかった。自動車メーカーのカタログやウェブではわかるはずもない、クルマとドライバーの相性もまた、長距離、長時間ドライブでの疲れにくさに大きくかかわっているのかもしれない。